Business Network Archives - OpenText Blogs https://blogs.opentext.com/ja/category/enterprise-information-management-eim-ja/business-network-ja/ The Information Company Wed, 04 Jun 2025 08:13:55 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.1 https://blogs.opentext.com/wp-content/uploads/2024/07/cropped-OT-Icon-Box-150x150.png Business Network Archives - OpenText Blogs https://blogs.opentext.com/ja/category/enterprise-information-management-eim-ja/business-network-ja/ 32 32 セイコーエプソンは、EDIの共通化/標準化を進めるためOpenTextを採用 https://blogs.opentext.com/ja/bn-user-case-studies-epson-jp/ Wed, 04 Jun 2025 08:13:50 +0000 https://blogs.opentext.com/?p=999308745

セイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)はグローバル経営基盤変革プロジェクトにおいて、基幹システムのグローバル統合とEDIの共通化/標準化を進めるため、OpenText B2B Integration Enterpriseを採用。国内販売会社への展開によって取引先とのEDI接続の難易度を下げ、スピード化を図っています。将来的には海外生産拠点、海外販売拠点へのWeb-EDI導入も計画中で、タイムリーなデータ供給と迅速な経営判断、ガバナンスの強化に寄与していく方針です。

グループ全体のITシステムを標準化するグローバル経営基盤変革(GX)プロジェクト

「省・小・精の技術」を核に、プリンター、プロジェクター、産業用ロボット、水晶デバイス、半導体などの製造・販売を手がけるエプソン。現在、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」のもと、「環境」「DX」「共創」を重点に取り組んでいます。

DXを重要な経営戦略に位置付ける同社では、強固なデジタルプラットフォームによる新たな価値の創出を目指しています。その1つが、グループ全体のグローバル経営基盤変革(GX)プロジェクトです。DX推進本部 IT企画設計部 部長の小口俊樹氏は次のように語ります。

「GXプロジェクトの目的は3つあります。1つめは、経営意思決定支援の強化です。世界中の販売拠点・製造拠点のデータをリアルタイムに把握し、的確で迅速な経営判断を実現します。2つめのガバナンス強化では、世界中の事業部のデータを統一し、経営の意思を反映した事業活動を実施します。3つめが低生産性・長時間労働からの脱却で、スタッフを高付加価値業務に集中させることを目指します」

同社は上記の目標に向けてグローバルデータベースの構築、業務プロセスとシステムの標準化、ガバナンス強化を並行して進め、2030年までにERP(SAP S/4HANA)をコアとするシステム更新を進める計画です。

OpenText B2B Integration Enterpriseでグループ共通のEDI基盤を構築

エプソンはERPの刷新に伴い、仕入先、販売先、国内外のグループ会社、物流会社、金融機関などとの企業間通信を行うEDI基盤も全面刷新することにしました。

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セイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)はグローバル経営基盤変革プロジェクトにおいて、基幹システムのグローバル統合とEDIの共通化/標準化を進めるため、OpenText B2B Integration Enterpriseを採用。国内販売会社への展開によって取引先とのEDI接続の難易度を下げ、スピード化を図っています。将来的には海外生産拠点、海外販売拠点へのWeb-EDI導入も計画中で、タイムリーなデータ供給と迅速な経営判断、ガバナンスの強化に寄与していく方針です。

グループ全体のITシステムを標準化するグローバル経営基盤変革(GX)プロジェクト

「省・小・精の技術」を核に、プリンター、プロジェクター、産業用ロボット、水晶デバイス、半導体などの製造・販売を手がけるエプソン。現在、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」のもと、「環境」「DX」「共創」を重点に取り組んでいます。

DXを重要な経営戦略に位置付ける同社では、強固なデジタルプラットフォームによる新たな価値の創出を目指しています。その1つが、グループ全体のグローバル経営基盤変革(GX)プロジェクトです。DX推進本部 IT企画設計部 部長の小口俊樹氏は次のように語ります。

「GXプロジェクトの目的は3つあります。1つめは、経営意思決定支援の強化です。世界中の販売拠点・製造拠点のデータをリアルタイムに把握し、的確で迅速な経営判断を実現します。2つめのガバナンス強化では、世界中の事業部のデータを統一し、経営の意思を反映した事業活動を実施します。3つめが低生産性・長時間労働からの脱却で、スタッフを高付加価値業務に集中させることを目指します」

同社は上記の目標に向けてグローバルデータベースの構築、業務プロセスとシステムの標準化、ガバナンス強化を並行して進め、2030年までにERP(SAP S/4HANA)をコアとするシステム更新を進める計画です。

OpenText B2B Integration Enterpriseでグループ共通のEDI基盤を構築

エプソンはERPの刷新に伴い、仕入先、販売先、国内外のグループ会社、物流会社、金融機関などとの企業間通信を行うEDI基盤も全面刷新することにしました。

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福井県坂井市は、OpenText で避難情報を固定電話に一斉配信し、防災の情報伝達を強化 https://blogs.opentext.com/ja/vr-delivers-evacuation-information-to-all/ Fri, 04 Apr 2025 01:49:58 +0000 https://blogs.opentext.com/?p=999307430

福井県の北部に位置し、観光の町としても知られる坂井市。同市は防災情報発信のツールとして防災行政メールや防災アプリを活用してきましたが、スマートフォンを持たない高齢者世帯への情報伝達が課題となっていました。そこで、音声一斉配信サービスのOpenText voiceREACHを導入し、固定電話に避難情報を伝える取り組みを開始。要配慮者利用施設への連絡にも活用し、年に1回実施している避難訓練に役立てています。

台風、地震などの災害時の避難情報を固定電話に音声で一斉配信

人口約8万8,000人(2025年2月時点)を擁する坂井市は、福井県第2の都市です。行政区域は東西約31kmと長く、西は日本海に面し、東は勝山市、北はあわら市と石川県加賀市に接しています。国の天然記念物および名勝に指定されている「東尋坊」や、海の神様の島として崇められた「雄島」、国の史跡・重要文化財に認定されている古城「丸岡城」などが全国的に知られ、多くの観光客が訪れています。

同市は地震や津波、風水害などの災害対策に力を入れており、市全体で年1回の防災訓練、小学校区単位では年に3回程度の地区訓練を行っています。また、市民の防災意識を高めるため、地区や団体向けの防災講座も実施しています。坂井市 危機管理対策課 主任の宮永英之氏は「住民の『自助』と『共助』の活動によって速やかに災害に対応できる防災力向上に努め、安心して暮らせる地域づくりを目指しています」と語ります。

同市ではこれまで「命を守る、防災情報を伝えるツール」として防災行政無線のほか、有事に備えて事前登録された携帯電話やパソコンのメールアドレスに情報を配信する防災行政メール、Jアラート(全国瞬時警報システム)、市内にある携帯電話とスマートファンに一斉に情報を配信する緊急速報メール(エリアメール)、防災アプリ、坂井チャンネル(ケーブルテレビ)、公式ホームページ/SNS(Facebook、LINE)を活用して防災情報を周知してきました。2024年には災害時の行動や避難に関する情報をまとめた冊子『坂井市防災ガイドブック』を作成して全戸に配布しています。

数ある防災情報発信の中で、近年主流になりつつあるのが防災アプリです。台風や大雨などで発令される避難指示、防災行政無線の放送内容、地震の震度情報、災害情報、熊などの危険生物出没情報といった防災情報や防犯情報、避難所の開設などの情報を市民にプッシュ通知しており、現在の登録率は全市民の9%に達しています。

しかし当時は、防災行政メール、ホームページなどを見るには住民が携帯電話、スマートフォン、パソコンを持ち、インターネット環境がなければ利用できません。また、スマートフォンやパソコンを持たない高齢者世帯への連絡が課題となっていたため、情報が十分に行き渡らない懸念がありました。そこで同市が着目したのが、避難指示などの発令時に、固定電話に避難情報を音声で配信する仕組みでした。

従量課金で利用できるOpenText voiceREACHを採用

坂井市は、他の自治体の先行事例を参考にOpenText voiceREACHを採用しました。OpenText voiceREACHは音声メッセージを固定電話や携帯電話に一斉送信するサービスで、音声ファイルと配信先リストをWebにアップロードするだけで、大量の宛先に音声メッセージを送信できます。あらかじめ配信先リストを登録しておけば、送信の指示を出すことも容易です。また、新たな音声メッセージを追加する際には電話機から録音できる点も特長です。

「採用の決め手は、導入/運用コストが抑えられることでした。クラウド型のサービスであるため、システムなどの初期導入コストが低く、使った分だけの従量課金で利用できます」(宮永氏)

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福井県の北部に位置し、観光の町としても知られる坂井市。同市は防災情報発信のツールとして防災行政メールや防災アプリを活用してきましたが、スマートフォンを持たない高齢者世帯への情報伝達が課題となっていました。そこで、音声一斉配信サービスのOpenText voiceREACHを導入し、固定電話に避難情報を伝える取り組みを開始。要配慮者利用施設への連絡にも活用し、年に1回実施している避難訓練に役立てています。

台風、地震などの災害時の避難情報を固定電話に音声で一斉配信

人口約8万8,000人(2025年2月時点)を擁する坂井市は、福井県第2の都市です。行政区域は東西約31kmと長く、西は日本海に面し、東は勝山市、北はあわら市と石川県加賀市に接しています。国の天然記念物および名勝に指定されている「東尋坊」や、海の神様の島として崇められた「雄島」、国の史跡・重要文化財に認定されている古城「丸岡城」などが全国的に知られ、多くの観光客が訪れています。

同市は地震や津波、風水害などの災害対策に力を入れており、市全体で年1回の防災訓練、小学校区単位では年に3回程度の地区訓練を行っています。また、市民の防災意識を高めるため、地区や団体向けの防災講座も実施しています。坂井市 危機管理対策課 主任の宮永英之氏は「住民の『自助』と『共助』の活動によって速やかに災害に対応できる防災力向上に努め、安心して暮らせる地域づくりを目指しています」と語ります。

同市ではこれまで「命を守る、防災情報を伝えるツール」として防災行政無線のほか、有事に備えて事前登録された携帯電話やパソコンのメールアドレスに情報を配信する防災行政メール、Jアラート(全国瞬時警報システム)、市内にある携帯電話とスマートファンに一斉に情報を配信する緊急速報メール(エリアメール)、防災アプリ、坂井チャンネル(ケーブルテレビ)、公式ホームページ/SNS(Facebook、LINE)を活用して防災情報を周知してきました。2024年には災害時の行動や避難に関する情報をまとめた冊子『坂井市防災ガイドブック』を作成して全戸に配布しています。

数ある防災情報発信の中で、近年主流になりつつあるのが防災アプリです。台風や大雨などで発令される避難指示、防災行政無線の放送内容、地震の震度情報、災害情報、熊などの危険生物出没情報といった防災情報や防犯情報、避難所の開設などの情報を市民にプッシュ通知しており、現在の登録率は全市民の9%に達しています。

しかし当時は、防災行政メール、ホームページなどを見るには住民が携帯電話、スマートフォン、パソコンを持ち、インターネット環境がなければ利用できません。また、スマートフォンやパソコンを持たない高齢者世帯への連絡が課題となっていたため、情報が十分に行き渡らない懸念がありました。そこで同市が着目したのが、避難指示などの発令時に、固定電話に避難情報を音声で配信する仕組みでした。

従量課金で利用できるOpenText voiceREACHを採用

坂井市は、他の自治体の先行事例を参考にOpenText voiceREACHを採用しました。OpenText voiceREACHは音声メッセージを固定電話や携帯電話に一斉送信するサービスで、音声ファイルと配信先リストをWebにアップロードするだけで、大量の宛先に音声メッセージを送信できます。あらかじめ配信先リストを登録しておけば、送信の指示を出すことも容易です。また、新たな音声メッセージを追加する際には電話機から録音できる点も特長です。

「採用の決め手は、導入/運用コストが抑えられることでした。クラウド型のサービスであるため、システムなどの初期導入コストが低く、使った分だけの従量課金で利用できます」(宮永氏)

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EDIのクラウド移行を成功させるポイント https://blogs.opentext.com/ja/successfully-migrate-edi-to-the-cloud-jp/ Wed, 05 Mar 2025 00:24:37 +0000 https://blogs.opentext.com/?p=999307282

本記事を読むことで、オンプレEDI環境からクラウド移行を図る際の具体的なメリットと手順が一挙に把握できます。コスト削減や保守作業の軽減、システム拡張の容易化など、オンプレからの移行に伴う要点を総合的に学べ、移行後の運用方法やコスト管理の重要ポイントも押さえられるため、セキュリティと可用性を強化したい企業にとって意味のある結論が得られるでしょう。本記事を通じて、クラウド移行のポイントを具体的に理解し、自社に最適なアプローチを見極める指針が得られます。

1. オンプレEDI運用が抱える課題

企業間での取引情報をデータ交換するEDI(Electronic Data Interchange)は、これまでオンプレミス環境を主軸として導入・運用されるケースが多く見られました。しかし、取引記録の増加やビジネスプロセスの高度化にともない、自社でのサーバー維持管理にはさまざまな問題が浮上し始めています。具体的には、運用や保守の手間、IT担当者の負担、セキュリティ対策の強化など、多岐にわたる課題を抱えることが少なくありません。

1.1 保守や運用コストの増大

オンプレEDI環境を長期間運用していると、サーバーのハードウェア更新やソフトウェアのライセンス費用などランニングコストが年々上昇しやすい状況に陥ります。また、設備投資が必要な時期には大きなイニシャルコストも発生します。さらに、ITインフラの保守に専門スタッフのみならず、EDI独自の仕様など専門知識を有したスタッフを配置したり、外部の業者へ保守を委託したりする場合、人的費用や契約費用が積み重なり、結果的にコスト負担が膨れ上がる要因になるのです。

加えて、従来環境での強化策としてハードウェアを追加導入する際には、サーバーラックや電源、空調設備などシステム全体を拡張するための物理的スペースと費用も考慮しなければなりません。これらの要素が複合的に重なり合い、オンプレ運用のコストは想像以上に大きくなることが多いのです。

1.2 障害対応やシステム拡張の手間

オンプレ環境では、障害が起きたときに即座に復旧するための人員確保とノウハウが不可欠です。たとえば、サーバーの物理障害やネットワーク機器の不具合が起きると、予想外のダウンタイムが発生し、ビジネスへの影響は多大になります。こうした緊急事態に迅速に対応するには、日ごろから障害対応に精通したエンジニアの確保と、施設へのアクセス権限を含む十分な体制が整っている必要があります。

さらに、新しい取引先とのデータ連携などで機能追加が求められた場合、オンプレ環境ではシステム拡張にともなうサーバーやネットワーク機器の導入・設定変更が発生することがあります。これらはクラウド環境に比べて柔軟性に欠けるため、短期間での対応が難しくなるケースも見受けられます。加えて、オンプレEDIはデータ変換や接続プロトコルの拡張に関しても個別でカスタマイズしなければならないことが多く、作業の手間が増加する点が大きな課題です。

2. クラウド移行で得られるメリット

2.1 コストやリソースの最適化

クラウドへの移行によって、オンプレミス環境で発生していたサーバー調達費やハードウェア更新時の初期投資額を大きく抑えられます。さらにマネージドサービスを活用することで、日々の運用管理に伴う労力や外部委託コストなども削減しやすくなります。需要変動が激しい場合でも、必要な分だけリソースを柔軟に拡張・縮小できるため、使いすぎや供給不足といったリスクを軽減しながら最適化を実現しやすい点も魅力です。これにより、EDIシステムにおけるデータ交換量の増加や通信量の変動にもスムーズに対応でき、ビジネスの成長を支えるインフラが安定します。

2.1.1 導入コストの削減

オンプレミスで新システムを導入する場合には、サーバーやストレージなどを購入し、設置・保守を含めた環境構築コストが高額になるケースがあります。一方でクラウドでは初期費用を抑えながら利用開始が可能であり、短期間の検証にも適した柔軟なライセンス形態が用意されています。ベンダーによってはフリートライアルや段階的な料金プランも提供されているため、無駄な投資を抑えて着実にクラウド運用へと移行できます。

2.1.2 運用コストの最適化

オンプレミス環境では定期的なメンテナンス費や障害発生時の修理費など、見えにくいコストが積み重なる傾向があります。クラウドへ移行するとベンダー側でインフラを管理し、障害対応やセキュリティパッチの適用を行うため、長期的な観点でみると企業側の管理負担や保守コストが大幅に低減します。

2.2 システムの柔軟性と可用性向上

EDIシステムをクラウドで運用する最大のメリットの一つが柔軟性と可用性の向上です。多様なサービスやツールを取り入れやすく、従来のオンプレミス環境では難しかった迅速なスケーリングが可能になります。また高可用性や障害耐性を高める機能があらかじめ用意されているため、システム停止リスクの低減にもつながります。可用性が高まることで、自社の取引先や顧客に対して安定したデータ交換サービスを提供し続けられる点が大きな利点です。

2.2.1 スケーラビリティの向上

クラウド上では需要変動に合わせてリソースを自動的に拡張できる機能が充実しています。オンプレミス環境では倍増した需要に対応するためには新たなサーバーの購入やネットワーク機器の強化などが必須でしたが、クラウドならば必要な時に必要な分だけリソースを追加できます。これによりビジネス拡大時にも機動的にシステム規模を調整し、過剰投資や機会損失を防ぎながら安定した運用を維持しやすくなります。

2.2.2 高可用性の担保

主要クラウドサービスでは複数のデータセンター間で冗長構成を組み、サービスを中断させない仕組みが整っています。オンプレミス環境だと自社内で冗長構成を構築するために大きな設備投資が必要ですが、クラウドでは比較的低コストで分散配置やバックアップを実現可能です。さらにサービスレベルアグリーメント(SLA)による可用性保証を提供するベンダーも多く、24時間365日の安定稼働を求められるEDIには非常に有効な手段となります。

3. クラウド移行を検討する理由

3.1 セキュリティ技術の進化

現代のクラウド環境において、多くの事業者が提供するセキュリティサービスは日々高度化しています。例えば、ゼロトラストモデルや暗号化技術を活用することで、従来の境界防御だけに頼らない包括的な保護を実現し、情報漏えいや不正アクセスへの対策を強化できます。オンプレ環境ではセキュリティ機能の拡張や最新技術の導入に大きなコストと手間がかかることから、常に最新のセキュリティを自動的に享受できるクラウドに注目が集まっています。

さらに、クラウド事業者はWAF(Web Application Firewall)の導入や脆弱性診断などの運用支援も提供しており、コンプライアンス対策やセキュリティ監査を含めた総合的なサポートが受けられます。これらの最新技術や支援体制によって、情報セキュリティ対策を高い水準で維持し続けることが容易になるため、オンプレ環境からの移行を検討する大きな理由となっています。

3.2 オンプレ環境の老朽化リスク

サーバーやネットワーク機器を始めとするオンプレミスのハードウェアはメンテナンスや更新作業を怠ると動作不良や性能低下につながるリスクが高くなります。また、OSやミドルウェアのサポート切れによるセキュリティホールが放置される可能性もあるため、老朽化した環境を維持することは、企業にとって大きな脅威となります。

老朽化が進むと突然の障害によるダウンタイムや修理・交換コストの増大が発生し、事業継続計画(BCP)の観点からもリスクが高まります。一方、クラウド環境であれば最新のハードウェアや仮想化技術に依存するため、オンプレのような物理的老朽化リスクを大幅に低減できます。システムの更新もクラウド事業者が定期的に行うため、利用企業は資産管理にかかる負担を軽減し、事業活動に集中しやすくなります。

さらに、オンプレ環境ではシステム増強の際に大規模な投資やスペース確保が必要ですが、クラウドならば必要に応じたスケールアップやスケールダウンが容易に行えます。このように柔軟なリソース管理が可能な点も、オンプレ環境の老朽化によるリスクを回避しながらビジネスを成長させるためにクラウド移行を検討する大きな要因となっています。

4. 移行前に準備しておくこと

オンプレEDIシステムからクラウドへ移行を検討する際には、事前準備の精度が移行後の運用効率や トラブル発生リスクの軽減に大きく影響します。十分なプランを立てるために、システムの全体像を 把握し、組織内のルールや体制を整えておくことが不可欠です。ここでは、移行前に押さえておくべき 二つの重要なポイントをご紹介します。

4.1 既存システムの棚卸

まずは現行システムの全容を正確に把握することから始めましょう。ハードウェア、ソフトウェア、 ネットワーク構成、稼働中のアプリケーション、データ量などを一覧化し、運用に必要な環境を明確化します。 これにより、クラウド環境で運用可能な部分と、追加検討が必要な部分を切り分けることができます。

4.1.1 アプリケーションの依存関係と互換性の確認

レガシーシステムや特定のミドルウェアと連携している場合、強引にクラウドへ移行すると 上手く動作しないリスクがあります。そこで各種アプリケーションやサービスが互いにどのように依存しているかを 洗い出し、互換性の確保ができるか慎重に検証する必要があります。オンプレ環境でのみ稼働する ライブラリがある場合には代替手段の検討も進めましょう。

4.1.2 バージョン管理とドキュメント整備

運用年数が長いオンプレ環境では、度重なるパッチ適用やマイグレーションによって 正確なバージョン管理が難しくなっているケースがあります。クラウド移行前にすべてのソフトウェアや OSのバージョンを整理し、関連するドキュメントを整備することで、移行トラブルの 早期発見と対処がしやすくなります。また、ドキュメントが充実していれば、移行後のクラウド環境での 運用マニュアルとしても役立ちます。

4.2 社内体制やルールの見直し

EDIシステムの移行は、技術的な課題だけでなく、組織体制や運用ポリシーの変更も伴います。 人員配置やセキュリティ方針、運用フローといった要素をどのように見直すかも重要な検討事項です。 特にクラウドの特性を活かすためには、迅速な意思決定と対応ができる体制づくりが求められます。

4.2.1 セキュリティポリシーの拡充

クラウド移行に際しては、アクセス制御や暗号化プロトコルなど従来のオンプレ環境とは 異なる視点でのセキュリティ対策が必須です。たとえば、機微情報を含むデータの取り扱いについて、 どこまでクラウドに委託し、どこから社内に留めるべきかの判断が必要になります。社内のコンプライアンス ルールや監査項目を再設定することで、移行後の運用リスクを最小化できます。

4.2.2 組織内の意思決定フローの再構築

オンプレ中心の運用では、システム管理部署や外部ベンダーといった限られた専門部門だけで 対応していたケースが多いかもしれません。しかしクラウド運用ではアジャイルな対応が期待されるため、 関連部署との役割分担や運用ルールを改めて整理し、スピード感のある意思決定が可能な体制を 構築することが重要です。また、ベンダーコントロールを含む契約面の見直しや、サポート窓口の一本化なども あわせて検討しておきましょう。

5. クラウドへの移行手順と注意点

5.1 移行スケジュールの策定

オンプレで稼働しているEDIをクラウドへ移行する際は、まず具体的な移行スケジュールを明確化することが重要です。各部門の繁忙期や外部との取引量などを勘案し、移行作業のタイミングを調整します。特にダウンタイムが許容される時間帯やバッチ処理の停止が可能な期間を洗い出し、システム停止の影響範囲を最小限に抑える計画を立案しましょう。加えて、オンプレ環境のハードウェア保守契約やソフトウェアライセンスの更新時期も考慮し、クラウド移行作業に必要な時間とリソースを確保します。

5.1.1 移行プロジェクト体制の確立

EDIシステムは社内外の連携に直結するため、移行プロジェクトを横断的に管理できる体制を作ることが不可欠です。情報システム部門だけでなく、調達や購買、サプライチェーン、あるいは経理や営業など各部門から担当者を選出し、スケジュールや要件定義を緊密にすり合わせます。社内外の連携が多い企業ほど、コミュニケーションロスを防ぐ仕組みが重要となります。

5.1.2 予算とリソース配分

移行スケジュールと並行して、必要な予算や人的リソースを明確にします。クラウド移行では初期費用や運用コストの変動が起こるため、現行のオンプレコストとクラウド利用料金の試算を比較検討しましょう。また、導入前のトレーニングや運用要員の確保も見落とさず、計画段階で組み込むことが大切です。

5.2 クラウドサービス選定のポイント

EDIのクラウド移行では、サービスの種類や提供元によってセキュリティ機能やサポート範囲、スケーラビリティなどに違いがあります。自社システムの要件に合致するクラウドサービスを選定するには、いくつかの要点を押さえて比較検討を行いましょう。

5.2.1 サービスの互換性と拡張性

オンプレで利用しているEDIシステムとクラウドサービスの互換性は、移行後の運用安定性に直結します。通信プロトコルやデータ形式が対応しているかを確認したうえで、将来的にサービス拡張が可能かどうかも見極めが必要です。いまや国内だけではなく、海外企業とのビジネス拡大や取引先の増加に伴い、スケーラビリティの確保は事業継続性を高める大きな要素となります。

5.2.2 コストとサポート体制

クラウドサービスの料金形態は従量課金や定額制などさまざまです。ランニングコストとサポート費用を含め、オンプレとの総費用を比較したうえで選択しましょう。また、障害発生時や設定変更時にどのようなサポートを受けられるかも重要なポイントです。国内にサポート拠点があり、日本語による迅速な対応が得られるサービスであれば、移行後の安定運用に寄与します。

5.3 テスト環境の構築と検証

クラウドへの移行前には、実運用と同等の環境に近いテスト環境を構築して入念に検証することが不可欠です。テストフェーズをしっかり設けることで、移行後のトラブルやシステム障害を未然に防ぐことができます。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に同時稼働させることも検討し、データ移行や通信設定の問題を洗い出しましょう。

5.3.1 接続テストと通信プロトコルの確認

EDIでは外部連携が前提となるため、取引先との接続テストを綿密に行う必要があります。プロトコルのバージョン管理やセキュリティ設定が正しく行われているか、暗号化通信やVPNなどの設定が適切に機能しているかを確認しましょう。取引先のシステム変更に伴うテスト期間を確保することも忘れずに行います。

5.3.2 フォールバック体制の検証

クラウド移行中、トラブルが発生した場合の迅速な切り戻し体制を整備しておくことも大切です。オンプレとのハイブリッド状態で移行を進める場合、フォールバック先としてオンプレ環境を一時的に維持するケースがあります。障害発生時にどのタイミングでオンプレ側に切り替えを行うかなど、事前に手順を明確にしておきましょう。

6. EDIクラウド移行を成功させるポイント

6.1 段階的な移行プランの導入

オンプレミスで運用しているEDIシステムを一気にクラウドへ移行すると、予期せぬ障害や手戻りのリスクが高まります。そこで段階的に移行を行うことでリスクを分散し、ITインフラ全体への負担を最小限に抑えることが可能です。まずは小規模な業務からテストとしてクラウド化を進め、安定稼動を確認したうえで運用範囲を拡大していくプロセスを取り入れると、移行の失敗リスクを抑えながら着実にクラウドへの移行効果を得ることができます。 また時期を明確に定めた移行スケジュールをあらかじめ策定し、移行手順や役割分担を明確化すると、プロジェクト全体の見通しが立ちやすくなります。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に並行稼動させることで、万一の場合の切り戻し対応を容易にする安全策も検討しましょう。こうしたプランはクラウド移行後の運用トラブルを最小限に抑えるだけでなく、社内外への信頼感を高める要素にもなります。

6.2 セキュリティ基準と監査の徹底

EDIクラウド移行の際に最も懸念されるのが、セキュリティとコンプライアンスの確保です。ただクラウドサービス事業者は、ISO27001やSOC2といった国際的なセキュリティ基準を満たすための投資や監査を継続的に行っていることが多く、オンプレ環境よりも高いセキュリティ水準を維持できる場合があります。

自社のセキュリティ方針に照らし合わせながら、アクセス制御やデータ暗号化、ログモニタリングなどの対策を厳格に実施することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを極小化できます。また監査手順の策定と定期的なレビューを行うことで、万が一インシデントが起きた際にも迅速に対応できる体制を構築することが重要です。これらの取り組みを徹底することで、企業間取引の基盤であるEDIの信頼性を損なわず、安全にクラウド活用が進められるでしょう。

6.3 オンプレとのハイブリッド運用

クラウドへ全面移行するのが理想的とはいえ、システムの中にはレガシー環境やオンプレ特有のアプリケーションが存在するケースもあります。そうした場合には、オンプレ環境とクラウド環境を連携させることで、柔軟な負荷分散やBCP対策を可能にし、ビジネス継続性を強化することができるのです。

ハイブリッド運用を行う際は、クラウド側からオンプレ側へアクセスする経路やデータ転送量、セキュリティルールなどを慎重に検討し、運用設計を進める必要があります。例えば予備系システムをクラウド上に用意し、オンプレシステムに障害が発生した際に即座に切り替える仕組みを整えておけば、取引先とのデータ交換を停止させることなく業務を継続できます。こうしたハイブリッド構成は、レガシー環境からの離脱が難しい企業にとっても現実的かつ効果的なアプローチです。

7. 国内で利用される代表的クラウドサービス

クラウドへの移行を検討する際、多くの企業が注目するのが国内でも広く利用されているサービスです。オンプレ環境からクラウドへの移行に際し、信頼性やサポート、導入実績などを重視する企業が多いため、国内外を問わず実績豊富なベンダーのサービスが選ばれる傾向があります。ここでは、EDI導入にも適した代表的なクラウドサービスと、それぞれの特長や活用事例について解説します。

7.1 OpenText Business Network Cloudの特長

OpenText社のEDIサービスは、クラウドベースの統合プラットフォームを通じて、あらゆる規模の企業にエンタープライズグレードのB2B統合機能を提供します。 主要なEDI規格(ANSI、XML、EDIFACT、Tradacomsなど)や通信プロトコル(AS2、FTP、SFTPなど)に対応し、取引先とのシームレスなデータ交換を実現します。 また、経験豊富なプロフェッショナルチームによる24時間365日のサポートにより、迅速なエラー解決や複雑な統合の実装を支援します。さらに、事前構築されたデータマップやフォームのライブラリを活用し、新しいビジネスパートナーの迅速なオンボーディングが可能です。

これらの特徴により、ビジネスプロセスの効率化、コスト削減、データ精度の向上が期待できます。

7.1.1 導入事例:富士フイルムBI社が選んだクラウド移行策

同社はこれまで、世界に分散する生産管理や販売管理など50の社内システム間のEDIデータ連携を、オンプレミスの自社開発システムで実行してきた。だが、受発注や生産スケジュール、出荷などに関するデータのやり取りが国内拠点間だけでなく、国内と海外拠点間、海外拠点間同士でも発生するため、EDIによる接続環境が複数存在し、業務の複雑化やITコストの肥大化を招いていた。OpenTextのクラウドサービスを利用することで、分散管理していたEDIシステムの一元管理を実現し、効率的かつセキュアなデータ連携や、IT運用コストの削減を実現した。
https://digital-tech-insight.jp/opentext/resources/cs_fujifilm_business_innovation/

8. 移行後の運用とコスト管理

オンプレ環境からクラウドへ移行した後は、柔軟性や拡張性に優れたシステム基盤を手にできる一方で、継続的なコストの把握と運用方針の徹底が必要になります。これまでオンプレサーバーで行っていた運用作業はクラウド特有のプロセスへ変化し、利用料の考え方やモニタリングの環境も変わるため、移行後の運用管理体制を再設計することが欠かせません。また、EDI環境におけるデータやトランザクションの取り扱いは企業間連携の要となるため、トラブルを未然に防ぐセキュリティ対策や障害対応プロセスも含め、抜け漏れのない運用と最適なコスト管理が大切になります。

8.1 メンテナンスと技術サポート体制

クラウドへの移行後は、システム障害や予期せぬトラブルが発生した際の復旧プロセスを定義したメンテナンス計画が欠かせません。オンプレであればハードウェア障害や電源トラブルなど物理的な要因への即時対処が必要でしたが、クラウドではプロバイダ側がインフラ保守を行う一方、自社の設定やアプリケーション部分は継続的なケアが求められます。運用チームはクラウド特有の障害事象やサポート範囲を理解し、迅速なエスカレーション体制を整備しておきましょう。 以上のように、移行後の運用とコスト管理では強固な監視体制と最適化の仕組みづくりが不可欠です。正確なモニタリングを行い、チーム体制と外部サポートを連携させることで、クラウド移行の恩恵を最大化しながら安定したEDI運用を維持することができます。

9. まとめ

クラウド移行は保守や運用の負担軽減など多くの利点をもたらします。しかし、事前に既存システムの棚卸しや社内体制の調整を行わないと、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。移行時は段階的計画やテスト環境での検証、セキュリティ基準の遵守を徹底することでリスクを抑えられます。オープンテキストは、企業向け情報管理ソリューションを多角的に提供するグローバル企業として広く知られています。日本国内でも多くの企業が、電子取引や文書管理システムなど多岐にわたるアプリケーションを利用しており、オンプレミスからクラウド環境への移行においても導入実績が増えています。特にEDIソリューションの最大の特長は、既存のオンプレミス環境からの移行を段階的かつ安全に進めることができる点です。データマッピングや通信プロトコルの変換など、複雑な作業をアウトソーシングサービスとして提供しており、多くの経験からシステム切り替えによる業務停止を最小限に抑えるアプローチを取ることができ、EDIシステムの切り変えをスムーズに行うことにより、サプライチェーン全体での効率化をサポートすることが可能です。
 
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本記事を読むことで、オンプレEDI環境からクラウド移行を図る際の具体的なメリットと手順が一挙に把握できます。コスト削減や保守作業の軽減、システム拡張の容易化など、オンプレからの移行に伴う要点を総合的に学べ、移行後の運用方法やコスト管理の重要ポイントも押さえられるため、セキュリティと可用性を強化したい企業にとって意味のある結論が得られるでしょう。本記事を通じて、クラウド移行のポイントを具体的に理解し、自社に最適なアプローチを見極める指針が得られます。

1. オンプレEDI運用が抱える課題

企業間での取引情報をデータ交換するEDI(Electronic Data Interchange)は、これまでオンプレミス環境を主軸として導入・運用されるケースが多く見られました。しかし、取引記録の増加やビジネスプロセスの高度化にともない、自社でのサーバー維持管理にはさまざまな問題が浮上し始めています。具体的には、運用や保守の手間、IT担当者の負担、セキュリティ対策の強化など、多岐にわたる課題を抱えることが少なくありません。

1.1 保守や運用コストの増大

オンプレEDI環境を長期間運用していると、サーバーのハードウェア更新やソフトウェアのライセンス費用などランニングコストが年々上昇しやすい状況に陥ります。また、設備投資が必要な時期には大きなイニシャルコストも発生します。さらに、ITインフラの保守に専門スタッフのみならず、EDI独自の仕様など専門知識を有したスタッフを配置したり、外部の業者へ保守を委託したりする場合、人的費用や契約費用が積み重なり、結果的にコスト負担が膨れ上がる要因になるのです。

加えて、従来環境での強化策としてハードウェアを追加導入する際には、サーバーラックや電源、空調設備などシステム全体を拡張するための物理的スペースと費用も考慮しなければなりません。これらの要素が複合的に重なり合い、オンプレ運用のコストは想像以上に大きくなることが多いのです。

1.2 障害対応やシステム拡張の手間

オンプレ環境では、障害が起きたときに即座に復旧するための人員確保とノウハウが不可欠です。たとえば、サーバーの物理障害やネットワーク機器の不具合が起きると、予想外のダウンタイムが発生し、ビジネスへの影響は多大になります。こうした緊急事態に迅速に対応するには、日ごろから障害対応に精通したエンジニアの確保と、施設へのアクセス権限を含む十分な体制が整っている必要があります。

さらに、新しい取引先とのデータ連携などで機能追加が求められた場合、オンプレ環境ではシステム拡張にともなうサーバーやネットワーク機器の導入・設定変更が発生することがあります。これらはクラウド環境に比べて柔軟性に欠けるため、短期間での対応が難しくなるケースも見受けられます。加えて、オンプレEDIはデータ変換や接続プロトコルの拡張に関しても個別でカスタマイズしなければならないことが多く、作業の手間が増加する点が大きな課題です。

2. クラウド移行で得られるメリット

2.1 コストやリソースの最適化

クラウドへの移行によって、オンプレミス環境で発生していたサーバー調達費やハードウェア更新時の初期投資額を大きく抑えられます。さらにマネージドサービスを活用することで、日々の運用管理に伴う労力や外部委託コストなども削減しやすくなります。需要変動が激しい場合でも、必要な分だけリソースを柔軟に拡張・縮小できるため、使いすぎや供給不足といったリスクを軽減しながら最適化を実現しやすい点も魅力です。これにより、EDIシステムにおけるデータ交換量の増加や通信量の変動にもスムーズに対応でき、ビジネスの成長を支えるインフラが安定します。

2.1.1 導入コストの削減

オンプレミスで新システムを導入する場合には、サーバーやストレージなどを購入し、設置・保守を含めた環境構築コストが高額になるケースがあります。一方でクラウドでは初期費用を抑えながら利用開始が可能であり、短期間の検証にも適した柔軟なライセンス形態が用意されています。ベンダーによってはフリートライアルや段階的な料金プランも提供されているため、無駄な投資を抑えて着実にクラウド運用へと移行できます。

2.1.2 運用コストの最適化

オンプレミス環境では定期的なメンテナンス費や障害発生時の修理費など、見えにくいコストが積み重なる傾向があります。クラウドへ移行するとベンダー側でインフラを管理し、障害対応やセキュリティパッチの適用を行うため、長期的な観点でみると企業側の管理負担や保守コストが大幅に低減します。

2.2 システムの柔軟性と可用性向上

EDIシステムをクラウドで運用する最大のメリットの一つが柔軟性と可用性の向上です。多様なサービスやツールを取り入れやすく、従来のオンプレミス環境では難しかった迅速なスケーリングが可能になります。また高可用性や障害耐性を高める機能があらかじめ用意されているため、システム停止リスクの低減にもつながります。可用性が高まることで、自社の取引先や顧客に対して安定したデータ交換サービスを提供し続けられる点が大きな利点です。

2.2.1 スケーラビリティの向上

クラウド上では需要変動に合わせてリソースを自動的に拡張できる機能が充実しています。オンプレミス環境では倍増した需要に対応するためには新たなサーバーの購入やネットワーク機器の強化などが必須でしたが、クラウドならば必要な時に必要な分だけリソースを追加できます。これによりビジネス拡大時にも機動的にシステム規模を調整し、過剰投資や機会損失を防ぎながら安定した運用を維持しやすくなります。

2.2.2 高可用性の担保

主要クラウドサービスでは複数のデータセンター間で冗長構成を組み、サービスを中断させない仕組みが整っています。オンプレミス環境だと自社内で冗長構成を構築するために大きな設備投資が必要ですが、クラウドでは比較的低コストで分散配置やバックアップを実現可能です。さらにサービスレベルアグリーメント(SLA)による可用性保証を提供するベンダーも多く、24時間365日の安定稼働を求められるEDIには非常に有効な手段となります。

3. クラウド移行を検討する理由

3.1 セキュリティ技術の進化

現代のクラウド環境において、多くの事業者が提供するセキュリティサービスは日々高度化しています。例えば、ゼロトラストモデルや暗号化技術を活用することで、従来の境界防御だけに頼らない包括的な保護を実現し、情報漏えいや不正アクセスへの対策を強化できます。オンプレ環境ではセキュリティ機能の拡張や最新技術の導入に大きなコストと手間がかかることから、常に最新のセキュリティを自動的に享受できるクラウドに注目が集まっています。

さらに、クラウド事業者はWAF(Web Application Firewall)の導入や脆弱性診断などの運用支援も提供しており、コンプライアンス対策やセキュリティ監査を含めた総合的なサポートが受けられます。これらの最新技術や支援体制によって、情報セキュリティ対策を高い水準で維持し続けることが容易になるため、オンプレ環境からの移行を検討する大きな理由となっています。

3.2 オンプレ環境の老朽化リスク

サーバーやネットワーク機器を始めとするオンプレミスのハードウェアはメンテナンスや更新作業を怠ると動作不良や性能低下につながるリスクが高くなります。また、OSやミドルウェアのサポート切れによるセキュリティホールが放置される可能性もあるため、老朽化した環境を維持することは、企業にとって大きな脅威となります。

老朽化が進むと突然の障害によるダウンタイムや修理・交換コストの増大が発生し、事業継続計画(BCP)の観点からもリスクが高まります。一方、クラウド環境であれば最新のハードウェアや仮想化技術に依存するため、オンプレのような物理的老朽化リスクを大幅に低減できます。システムの更新もクラウド事業者が定期的に行うため、利用企業は資産管理にかかる負担を軽減し、事業活動に集中しやすくなります。

さらに、オンプレ環境ではシステム増強の際に大規模な投資やスペース確保が必要ですが、クラウドならば必要に応じたスケールアップやスケールダウンが容易に行えます。このように柔軟なリソース管理が可能な点も、オンプレ環境の老朽化によるリスクを回避しながらビジネスを成長させるためにクラウド移行を検討する大きな要因となっています。

4. 移行前に準備しておくこと

オンプレEDIシステムからクラウドへ移行を検討する際には、事前準備の精度が移行後の運用効率や トラブル発生リスクの軽減に大きく影響します。十分なプランを立てるために、システムの全体像を 把握し、組織内のルールや体制を整えておくことが不可欠です。ここでは、移行前に押さえておくべき 二つの重要なポイントをご紹介します。

4.1 既存システムの棚卸

まずは現行システムの全容を正確に把握することから始めましょう。ハードウェア、ソフトウェア、 ネットワーク構成、稼働中のアプリケーション、データ量などを一覧化し、運用に必要な環境を明確化します。 これにより、クラウド環境で運用可能な部分と、追加検討が必要な部分を切り分けることができます。

4.1.1 アプリケーションの依存関係と互換性の確認

レガシーシステムや特定のミドルウェアと連携している場合、強引にクラウドへ移行すると 上手く動作しないリスクがあります。そこで各種アプリケーションやサービスが互いにどのように依存しているかを 洗い出し、互換性の確保ができるか慎重に検証する必要があります。オンプレ環境でのみ稼働する ライブラリがある場合には代替手段の検討も進めましょう。

4.1.2 バージョン管理とドキュメント整備

運用年数が長いオンプレ環境では、度重なるパッチ適用やマイグレーションによって 正確なバージョン管理が難しくなっているケースがあります。クラウド移行前にすべてのソフトウェアや OSのバージョンを整理し、関連するドキュメントを整備することで、移行トラブルの 早期発見と対処がしやすくなります。また、ドキュメントが充実していれば、移行後のクラウド環境での 運用マニュアルとしても役立ちます。

4.2 社内体制やルールの見直し

EDIシステムの移行は、技術的な課題だけでなく、組織体制や運用ポリシーの変更も伴います。 人員配置やセキュリティ方針、運用フローといった要素をどのように見直すかも重要な検討事項です。 特にクラウドの特性を活かすためには、迅速な意思決定と対応ができる体制づくりが求められます。

4.2.1 セキュリティポリシーの拡充

クラウド移行に際しては、アクセス制御や暗号化プロトコルなど従来のオンプレ環境とは 異なる視点でのセキュリティ対策が必須です。たとえば、機微情報を含むデータの取り扱いについて、 どこまでクラウドに委託し、どこから社内に留めるべきかの判断が必要になります。社内のコンプライアンス ルールや監査項目を再設定することで、移行後の運用リスクを最小化できます。

4.2.2 組織内の意思決定フローの再構築

オンプレ中心の運用では、システム管理部署や外部ベンダーといった限られた専門部門だけで 対応していたケースが多いかもしれません。しかしクラウド運用ではアジャイルな対応が期待されるため、 関連部署との役割分担や運用ルールを改めて整理し、スピード感のある意思決定が可能な体制を 構築することが重要です。また、ベンダーコントロールを含む契約面の見直しや、サポート窓口の一本化なども あわせて検討しておきましょう。

5. クラウドへの移行手順と注意点

5.1 移行スケジュールの策定

オンプレで稼働しているEDIをクラウドへ移行する際は、まず具体的な移行スケジュールを明確化することが重要です。各部門の繁忙期や外部との取引量などを勘案し、移行作業のタイミングを調整します。特にダウンタイムが許容される時間帯やバッチ処理の停止が可能な期間を洗い出し、システム停止の影響範囲を最小限に抑える計画を立案しましょう。加えて、オンプレ環境のハードウェア保守契約やソフトウェアライセンスの更新時期も考慮し、クラウド移行作業に必要な時間とリソースを確保します。

5.1.1 移行プロジェクト体制の確立

EDIシステムは社内外の連携に直結するため、移行プロジェクトを横断的に管理できる体制を作ることが不可欠です。情報システム部門だけでなく、調達や購買、サプライチェーン、あるいは経理や営業など各部門から担当者を選出し、スケジュールや要件定義を緊密にすり合わせます。社内外の連携が多い企業ほど、コミュニケーションロスを防ぐ仕組みが重要となります。

5.1.2 予算とリソース配分

移行スケジュールと並行して、必要な予算や人的リソースを明確にします。クラウド移行では初期費用や運用コストの変動が起こるため、現行のオンプレコストとクラウド利用料金の試算を比較検討しましょう。また、導入前のトレーニングや運用要員の確保も見落とさず、計画段階で組み込むことが大切です。

5.2 クラウドサービス選定のポイント

EDIのクラウド移行では、サービスの種類や提供元によってセキュリティ機能やサポート範囲、スケーラビリティなどに違いがあります。自社システムの要件に合致するクラウドサービスを選定するには、いくつかの要点を押さえて比較検討を行いましょう。

5.2.1 サービスの互換性と拡張性

オンプレで利用しているEDIシステムとクラウドサービスの互換性は、移行後の運用安定性に直結します。通信プロトコルやデータ形式が対応しているかを確認したうえで、将来的にサービス拡張が可能かどうかも見極めが必要です。いまや国内だけではなく、海外企業とのビジネス拡大や取引先の増加に伴い、スケーラビリティの確保は事業継続性を高める大きな要素となります。

5.2.2 コストとサポート体制

クラウドサービスの料金形態は従量課金や定額制などさまざまです。ランニングコストとサポート費用を含め、オンプレとの総費用を比較したうえで選択しましょう。また、障害発生時や設定変更時にどのようなサポートを受けられるかも重要なポイントです。国内にサポート拠点があり、日本語による迅速な対応が得られるサービスであれば、移行後の安定運用に寄与します。

5.3 テスト環境の構築と検証

クラウドへの移行前には、実運用と同等の環境に近いテスト環境を構築して入念に検証することが不可欠です。テストフェーズをしっかり設けることで、移行後のトラブルやシステム障害を未然に防ぐことができます。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に同時稼働させることも検討し、データ移行や通信設定の問題を洗い出しましょう。

5.3.1 接続テストと通信プロトコルの確認

EDIでは外部連携が前提となるため、取引先との接続テストを綿密に行う必要があります。プロトコルのバージョン管理やセキュリティ設定が正しく行われているか、暗号化通信やVPNなどの設定が適切に機能しているかを確認しましょう。取引先のシステム変更に伴うテスト期間を確保することも忘れずに行います。

5.3.2 フォールバック体制の検証

クラウド移行中、トラブルが発生した場合の迅速な切り戻し体制を整備しておくことも大切です。オンプレとのハイブリッド状態で移行を進める場合、フォールバック先としてオンプレ環境を一時的に維持するケースがあります。障害発生時にどのタイミングでオンプレ側に切り替えを行うかなど、事前に手順を明確にしておきましょう。

6. EDIクラウド移行を成功させるポイント

6.1 段階的な移行プランの導入

オンプレミスで運用しているEDIシステムを一気にクラウドへ移行すると、予期せぬ障害や手戻りのリスクが高まります。そこで段階的に移行を行うことでリスクを分散し、ITインフラ全体への負担を最小限に抑えることが可能です。まずは小規模な業務からテストとしてクラウド化を進め、安定稼動を確認したうえで運用範囲を拡大していくプロセスを取り入れると、移行の失敗リスクを抑えながら着実にクラウドへの移行効果を得ることができます。 また時期を明確に定めた移行スケジュールをあらかじめ策定し、移行手順や役割分担を明確化すると、プロジェクト全体の見通しが立ちやすくなります。オンプレ環境とクラウド環境を一時的に並行稼動させることで、万一の場合の切り戻し対応を容易にする安全策も検討しましょう。こうしたプランはクラウド移行後の運用トラブルを最小限に抑えるだけでなく、社内外への信頼感を高める要素にもなります。

6.2 セキュリティ基準と監査の徹底

EDIクラウド移行の際に最も懸念されるのが、セキュリティとコンプライアンスの確保です。ただクラウドサービス事業者は、ISO27001やSOC2といった国際的なセキュリティ基準を満たすための投資や監査を継続的に行っていることが多く、オンプレ環境よりも高いセキュリティ水準を維持できる場合があります。

自社のセキュリティ方針に照らし合わせながら、アクセス制御やデータ暗号化、ログモニタリングなどの対策を厳格に実施することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを極小化できます。また監査手順の策定と定期的なレビューを行うことで、万が一インシデントが起きた際にも迅速に対応できる体制を構築することが重要です。これらの取り組みを徹底することで、企業間取引の基盤であるEDIの信頼性を損なわず、安全にクラウド活用が進められるでしょう。

6.3 オンプレとのハイブリッド運用

クラウドへ全面移行するのが理想的とはいえ、システムの中にはレガシー環境やオンプレ特有のアプリケーションが存在するケースもあります。そうした場合には、オンプレ環境とクラウド環境を連携させることで、柔軟な負荷分散やBCP対策を可能にし、ビジネス継続性を強化することができるのです。

ハイブリッド運用を行う際は、クラウド側からオンプレ側へアクセスする経路やデータ転送量、セキュリティルールなどを慎重に検討し、運用設計を進める必要があります。例えば予備系システムをクラウド上に用意し、オンプレシステムに障害が発生した際に即座に切り替える仕組みを整えておけば、取引先とのデータ交換を停止させることなく業務を継続できます。こうしたハイブリッド構成は、レガシー環境からの離脱が難しい企業にとっても現実的かつ効果的なアプローチです。

7. 国内で利用される代表的クラウドサービス

クラウドへの移行を検討する際、多くの企業が注目するのが国内でも広く利用されているサービスです。オンプレ環境からクラウドへの移行に際し、信頼性やサポート、導入実績などを重視する企業が多いため、国内外を問わず実績豊富なベンダーのサービスが選ばれる傾向があります。ここでは、EDI導入にも適した代表的なクラウドサービスと、それぞれの特長や活用事例について解説します。

7.1 OpenText Business Network Cloudの特長

OpenText社のEDIサービスは、クラウドベースの統合プラットフォームを通じて、あらゆる規模の企業にエンタープライズグレードのB2B統合機能を提供します。 主要なEDI規格(ANSI、XML、EDIFACT、Tradacomsなど)や通信プロトコル(AS2、FTP、SFTPなど)に対応し、取引先とのシームレスなデータ交換を実現します。 また、経験豊富なプロフェッショナルチームによる24時間365日のサポートにより、迅速なエラー解決や複雑な統合の実装を支援します。さらに、事前構築されたデータマップやフォームのライブラリを活用し、新しいビジネスパートナーの迅速なオンボーディングが可能です。

これらの特徴により、ビジネスプロセスの効率化、コスト削減、データ精度の向上が期待できます。

7.1.1 導入事例:富士フイルムBI社が選んだクラウド移行策

同社はこれまで、世界に分散する生産管理や販売管理など50の社内システム間のEDIデータ連携を、オンプレミスの自社開発システムで実行してきた。だが、受発注や生産スケジュール、出荷などに関するデータのやり取りが国内拠点間だけでなく、国内と海外拠点間、海外拠点間同士でも発生するため、EDIによる接続環境が複数存在し、業務の複雑化やITコストの肥大化を招いていた。OpenTextのクラウドサービスを利用することで、分散管理していたEDIシステムの一元管理を実現し、効率的かつセキュアなデータ連携や、IT運用コストの削減を実現した。
https://digital-tech-insight.jp/opentext/resources/cs_fujifilm_business_innovation/

8. 移行後の運用とコスト管理

オンプレ環境からクラウドへ移行した後は、柔軟性や拡張性に優れたシステム基盤を手にできる一方で、継続的なコストの把握と運用方針の徹底が必要になります。これまでオンプレサーバーで行っていた運用作業はクラウド特有のプロセスへ変化し、利用料の考え方やモニタリングの環境も変わるため、移行後の運用管理体制を再設計することが欠かせません。また、EDI環境におけるデータやトランザクションの取り扱いは企業間連携の要となるため、トラブルを未然に防ぐセキュリティ対策や障害対応プロセスも含め、抜け漏れのない運用と最適なコスト管理が大切になります。

8.1 メンテナンスと技術サポート体制

クラウドへの移行後は、システム障害や予期せぬトラブルが発生した際の復旧プロセスを定義したメンテナンス計画が欠かせません。オンプレであればハードウェア障害や電源トラブルなど物理的な要因への即時対処が必要でしたが、クラウドではプロバイダ側がインフラ保守を行う一方、自社の設定やアプリケーション部分は継続的なケアが求められます。運用チームはクラウド特有の障害事象やサポート範囲を理解し、迅速なエスカレーション体制を整備しておきましょう。 以上のように、移行後の運用とコスト管理では強固な監視体制と最適化の仕組みづくりが不可欠です。正確なモニタリングを行い、チーム体制と外部サポートを連携させることで、クラウド移行の恩恵を最大化しながら安定したEDI運用を維持することができます。

9. まとめ

クラウド移行は保守や運用の負担軽減など多くの利点をもたらします。しかし、事前に既存システムの棚卸しや社内体制の調整を行わないと、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。移行時は段階的計画やテスト環境での検証、セキュリティ基準の遵守を徹底することでリスクを抑えられます。オープンテキストは、企業向け情報管理ソリューションを多角的に提供するグローバル企業として広く知られています。日本国内でも多くの企業が、電子取引や文書管理システムなど多岐にわたるアプリケーションを利用しており、オンプレミスからクラウド環境への移行においても導入実績が増えています。特にEDIソリューションの最大の特長は、既存のオンプレミス環境からの移行を段階的かつ安全に進めることができる点です。データマッピングや通信プロトコルの変換など、複雑な作業をアウトソーシングサービスとして提供しており、多くの経験からシステム切り替えによる業務停止を最小限に抑えるアプローチを取ることができ、EDIシステムの切り変えをスムーズに行うことにより、サプライチェーン全体での効率化をサポートすることが可能です。
 
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関税引き上げ圧力にAIで立ち向かう https://blogs.opentext.com/ja/how-ai-can-help-combat-tariff-pressures-jp/ Mon, 24 Feb 2025 15:47:37 +0000 https://blogs.opentext.com/?p=999307935 AI is everywhere within global supply chains

関税は最近、多くの企業の頭を悩ませていますが、それには理由があります。米国の関税が発効されると、輸入に頼っている企業にとっては、原材料の調達、在庫管理、オペレーション、ロジスティクス、最終製品の価格に至るまで、すべてに影響を及ぼし、生き残るために大きな財務的圧力がかかるからです。

変化する世界貿易のダイナミクスへの適応

関税は経済政策以上に、ビジネスのあり方を変える可能性があります。関税はコスト上昇を招き、サプライヤーや調達先との関係を混乱させ、企業が貿易規制や貿易相手国との関係の変化に適応する際の生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

AIで関税に対する耐久性を高める

近年、人工知能(AI)はサプライチェーン・マネジメントを大きく変え、自動化、意思決定の強化、あらゆる段階での最適化への道を開いています。関税の影響力低下を目指す企業にとって、AIへの投資はより高い回復力と適応性への道筋を示すかもしれません。

ここでは、AIがサプライチェーンの可視性をエンド・ツー・エンドで向上させるのに役立つ方法をいくつか紹介します。

  • 調達戦略の最適化: 膨大なデータを分析し、代替サプライヤーを特定し、潜在的なコストを評価し、サプライヤーの信頼性を評価します。

  • 在庫管理の 改善 :過去の販売データ、市場動向、その他の経済指標を活用し、需要をより正確に予測することで、過剰在庫を回避し、在庫レベルを最適化し、生産と流通をより適切に計画します。

  • シナリオプランニング: 関税の影響(またはその他のビジネス上の課題)を複数のシナリオにわたってモデル化し、次のステップについて十分な情報に基づいた意思決定を行います。

  • ビジネスプロセスの合理化 :サプライチェーン全体で何が起こっているかを理解し、オペレーションを最適化し、コストとダウンタイムを削減する方法を特定します。

  • ロジスティクスの最適化: 配送パターン、通関データ、運賃をAIで把握し、コストを最小限に抑えます。

  • 貿易コンプライアンスの強化: 自由貿易協定に目を通し、貴社に影響を与える可能性のある貿易規制や条項を特定し、罰則を回避します。

すでにさまざまな業界でAIは活躍しています

AIは、多くの業界がより機敏に、効率的に、変化するグローバル市場に対応できるようにするのに役立っています。

  • 小売業:在庫管理、需要予測、価格設定の最適化、物流の合理化により、適切な商品を適切な場所に適切なタイミングで供給します。
  • 製造業:生産スケジュールを最適化し、在庫を管理し、設備が効率的に稼働するようにします。
  • 自動車業界:部品の需給を予測し、物流を最適化し、効率的な生産スケジュールを確保します。
  • 医薬品とヘルスケア業界:原材料、医薬品、医療機器の調達を最適化し、医薬品の需要予測、在庫不足の予測、流通ネットワークの最適化を行います。
  • 食品・飲料業界:需要予測の改善、廃棄物の削減と腐敗防止、生産ラインの最適化、配送ロジスティクスの改善を行います。
  • 物流業界:輸送ルートを管理し、燃料使用量を監視し、出荷をリアルタイムで追跡することで、混乱を最小限に抑え、メンテナンスを事前に計画し、ラストワンマイルの配送を改善します。
  • エレクトロニクス業界:需要予測、生産スケジューリングの合理化、部品サプライヤーの管理、サプライチェーンにおける潜在的な混乱を予測します。
  • 建設業界:資材を調達し、タイムリーな納品を確保し、不足に関連する遅延を減らし、日々の物流を管理します。
  • 消費財:生産・物流プロセスの最適化、需要予測、原材料供給の追跡を行います。

AIを不可欠なビジネスツールとして考える

現在の関税に関する環境は静的なものではなく、ダイナミックに進化しています。敏捷性、戦略的思考、革新的な問題解決能力を発揮する企業こそが、この複雑な状況をうまく乗り切ることができます。明日のサプライ チェーンは今日とは異なり、より分散化され、より技術主導で、より適応性の高いものになるでしょう。

AIはサプライチェーンの回復力への投資であり、貴社を助ける力になります。

  • 意思決定を改善:貿易政策や市場環境の変化に迅速に対応するため、リアルタイムのインサイトを活用する 。

  • コスト削減:ロジスティクスを最適化し、在庫管理の効率化を推進することで、コストを削減 します。

  • グローバル展開:外部からの圧力にもかかわらず、顧客にサービスを提供することでグローバル競争を勝ち抜く 。

OpenTextB2B IntegrationAviator IoTはサプライチェーンの可視性を変革し、実用的なインサイトを獲得するビジネスを支援します。グローバルな貿易が進化する中、AIはビジネスリスクを軽減し、長期的な成長に向けたポジションを確立するのに役立ちます。詳細はこちらまでお問い合わせください。

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AI is everywhere within global supply chains

関税は最近、多くの企業の頭を悩ませていますが、それには理由があります。米国の関税が発効されると、輸入に頼っている企業にとっては、原材料の調達、在庫管理、オペレーション、ロジスティクス、最終製品の価格に至るまで、すべてに影響を及ぼし、生き残るために大きな財務的圧力がかかるからです。

変化する世界貿易のダイナミクスへの適応

関税は経済政策以上に、ビジネスのあり方を変える可能性があります。関税はコスト上昇を招き、サプライヤーや調達先との関係を混乱させ、企業が貿易規制や貿易相手国との関係の変化に適応する際の生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

AIで関税に対する耐久性を高める

近年、人工知能(AI)はサプライチェーン・マネジメントを大きく変え、自動化、意思決定の強化、あらゆる段階での最適化への道を開いています。関税の影響力低下を目指す企業にとって、AIへの投資はより高い回復力と適応性への道筋を示すかもしれません。

ここでは、AIがサプライチェーンの可視性をエンド・ツー・エンドで向上させるのに役立つ方法をいくつか紹介します。

  • 調達戦略の最適化: 膨大なデータを分析し、代替サプライヤーを特定し、潜在的なコストを評価し、サプライヤーの信頼性を評価します。
  • 在庫管理の 改善 :過去の販売データ、市場動向、その他の経済指標を活用し、需要をより正確に予測することで、過剰在庫を回避し、在庫レベルを最適化し、生産と流通をより適切に計画します。
  • シナリオプランニング: 関税の影響(またはその他のビジネス上の課題)を複数のシナリオにわたってモデル化し、次のステップについて十分な情報に基づいた意思決定を行います。
  • ビジネスプロセスの合理化 :サプライチェーン全体で何が起こっているかを理解し、オペレーションを最適化し、コストとダウンタイムを削減する方法を特定します。
  • ロジスティクスの最適化: 配送パターン、通関データ、運賃をAIで把握し、コストを最小限に抑えます。
  • 貿易コンプライアンスの強化: 自由貿易協定に目を通し、貴社に影響を与える可能性のある貿易規制や条項を特定し、罰則を回避します。

すでにさまざまな業界でAIは活躍しています

AIは、多くの業界がより機敏に、効率的に、変化するグローバル市場に対応できるようにするのに役立っています。

  • 小売業:在庫管理、需要予測、価格設定の最適化、物流の合理化により、適切な商品を適切な場所に適切なタイミングで供給します。
  • 製造業:生産スケジュールを最適化し、在庫を管理し、設備が効率的に稼働するようにします。
  • 自動車業界:部品の需給を予測し、物流を最適化し、効率的な生産スケジュールを確保します。
  • 医薬品とヘルスケア業界:原材料、医薬品、医療機器の調達を最適化し、医薬品の需要予測、在庫不足の予測、流通ネットワークの最適化を行います。
  • 食品・飲料業界:需要予測の改善、廃棄物の削減と腐敗防止、生産ラインの最適化、配送ロジスティクスの改善を行います。
  • 物流業界:輸送ルートを管理し、燃料使用量を監視し、出荷をリアルタイムで追跡することで、混乱を最小限に抑え、メンテナンスを事前に計画し、ラストワンマイルの配送を改善します。
  • エレクトロニクス業界:需要予測、生産スケジューリングの合理化、部品サプライヤーの管理、サプライチェーンにおける潜在的な混乱を予測します。
  • 建設業界:資材を調達し、タイムリーな納品を確保し、不足に関連する遅延を減らし、日々の物流を管理します。
  • 消費財:生産・物流プロセスの最適化、需要予測、原材料供給の追跡を行います。

AIを不可欠なビジネスツールとして考える

現在の関税に関する環境は静的なものではなく、ダイナミックに進化しています。敏捷性、戦略的思考、革新的な問題解決能力を発揮する企業こそが、この複雑な状況をうまく乗り切ることができます。明日のサプライ チェーンは今日とは異なり、より分散化され、より技術主導で、より適応性の高いものになるでしょう。

AIはサプライチェーンの回復力への投資であり、貴社を助ける力になります。

  • 意思決定を改善:貿易政策や市場環境の変化に迅速に対応するため、リアルタイムのインサイトを活用する 。
  • コスト削減:ロジスティクスを最適化し、在庫管理の効率化を推進することで、コストを削減 します。
  • グローバル展開:外部からの圧力にもかかわらず、顧客にサービスを提供することでグローバル競争を勝ち抜く 。

OpenTextB2B IntegrationAviator IoTはサプライチェーンの可視性を変革し、実用的なインサイトを獲得するビジネスを支援します。グローバルな貿易が進化する中、AIはビジネスリスクを軽減し、長期的な成長に向けたポジションを確立するのに役立ちます。詳細はこちらまでお問い合わせください。

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サプライチェーンを強化!EDIデータ基盤で可視化を実現する方法 https://blogs.opentext.com/ja/how-to-achieve-visibility-with-edi/ Thu, 21 Nov 2024 05:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/how-to-achieve-visibility-with-edi/

この記事を読むことで、サプライチェーン可視化の重要性とEDIデータ基盤を活用した効率的な可視化手法を知ることができます。また、企業が直面する可視化の課題を解決し、より効果的なサプライチェーン運営を行うための具体的なステップも紹介します。従来のEDIデータを効果的に活用する最新テクノロジーを通じて、サプライチェーンの将来展望を描き、自社に適した改善策を見つけるヒントを得てください。

1. サプライチェーン可視化の重要性と課題

サプライチェーンの可視化は、現代の複雑な経済環境において効果的に対応し、競争力を維持・強化するための基盤となる取り組みです。市場のグローバル化や消費者ニーズの多様化、そして不確実性が高まる現代において、企業は変化に迅速に対応できる柔軟性が求められます。サプライチェーンの各段階を可視化することにより、企業は最適な意思決定を行い、安定調達を図ることで市場における競争優位を確保することが可能になります。

1.1 サプライチェーン可視化が求められる背景

近年、ビジネス環境は急速な技術革新や市場のグローバル化の影響で以前よりも不確実性が増しています。さらに、環境問題や法令遵守が重要視される中、サプライチェーンの透明性と情報のリアルタイム共有の必要性がますます高まっています。これにより、企業はサプライチェーン全体の把握により業務を最適化し、リスクを管理することが求められ、調達・購買などサプライチェーン関連部門の重要性がますます高まっています。

1.2 可視化により得られるメリット

サプライチェーンの可視化によって得られるメリットは多岐にわたります。例えば、調達した部品や素材が納期通りに納入されるのか、また遅れる場合はいつ届くのかを把握できることで、緊急輸送の必要性の有無や、代替品または代替サプライヤーへの切り替えを迅速に行うことができ、生産への影響を最小限に抑えることができます。また、リードタイムの短縮や在庫の最適化、コスト削減などもあげられます。これはつまり、企業がより迅速かつ的確に注文および供給を調整する能力を意味します。さらに、上記が実現することで顧客対応のスピードと精度が格段に向上し、市場での競争優位性を確保できます。そして不測の事態にもより迅速に対応できるため、企業の信頼性向上にもつながります。

1.3 可視化が進まない理由と現状の課題

サプライチェーンの可視化が進まない主な理由には、企業間システム間のデータ連携の難しさや、組織内部での情報共有の困難さがあります。特に、既存システムが分断化している場合は、情報の一元管理が難しく、サプライチェーンの可視化を阻む大きな障害となります。また、データの精度や粒度、そして更新頻度にばらつきがある場合、正確な分析ができず、迅速な意思決定に必要な情報を得ることが困難になりかねません。

2. EDIデータ基盤の役割と特徴

2.1 EDIデータ基盤とは

EDIデータ基盤は、企業内外のさまざまなデータを一元管理し、分析や活用ができるようにするためのB2Bデータ統合基盤です。この仕組みにより、調達・購買、製造、物流、販売、経理・財務など各部門で生成される異なるデータを統合し、多面的そして横断的に活用することが可能となります。これにより、サプライチェーン全体のリアルタイム監視が実現し、リスクの軽減や迅速な意思決定を支える情報基盤を提供します。

2.2 EDIデータ基盤の重要な要素

効果的なEDIデータ基盤を構築するためには、いくつかの重要な要素が求められます。第一にはデータの統合性です。調達・購買データ、在庫データ、出荷データ、物流データなど、異なる形式で存在するデータを正確に統合し、一貫性や整合性を確保することが重要です。また統計によると、整合性の高いデータは業務効率を20%以上向上させることが知られています。次に、迅速な意思決定を支えるために不可欠なリアルタイム性があります。市場の変化に迅速に対応するためには、リアルタイムでのデータ提供が求められます。さらに、データセキュリティの確保も欠かせません。情報漏洩や不正アクセスを防止するため、常に最新のセキュリティ技術を活用し、リスクを最小限に抑える必要があります。

2.3 効果的なEDIデータ基盤構築のポイント

効果的なEDIデータ基盤を構築するには、まずビジネスのニーズを理解し、データ要件を明確にするしっかりとした要件定義が欠かせません。次に重要なのは、信頼できるベンダーとのパートナーシップの構築です。国内外で実績があり信頼できるベンダーを選定し、システムの導入を正確に行うことが、プロジェクトの成否を左右します。最後に、システムが導入された後も定期的なメンテナンスとアップデートが必要です。これまでは、多くの企業がオンプレミスのEDIシステムを自社で運用されてきましたが、API連携など最新のテクノロジーやセキュリティ対策、そして顧客や市場に合わせた柔軟性が必要とされるシステム運用には限界があります。そこでクラウド型の統合基盤とアウトソーシングサービスを活用することで、新しいビジネスニーズや技術の進化にも対応しつつ、より生産性の高い業務へ注力することが可能になります。

3. EDIデータの活用とサプライチェーンの効率化

3.1 EDIの概要と歴史

EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間でビジネス情報を電子データとして交換する仕組みです。その基本的な目的は、紙ベースの取引をデジタル化することで業務の効率化を図ることにあり、1970年代から国際的に広まりました。日本でも、主に製造業や流通業での活用が進んでいます。これにより、通信エラーの減少や人的ミスの低減が実現しました。

EDIの歴史を振り返ると、大手企業を中心にその導入が進み、グローバルなビジネス環境を構築する一助となりました。調達先のサプライヤーが海外企業であったり、また逆に海外のメーカーから国内サプライヤーから調達を行ったり、EDIを活用した取引が活発に行われるようになりました。今では幅広い業種で標準的な手法となっています。

3.2 EDIデータ基盤がサプライチェーンに与える影響

EDIデータ基盤の導入により、サプライチェーン管理は大きく変革しました。例えば、データの正確性が飛躍的に向上し、処理速度も格段に速くなりました。このことは、企業における注文処理速度の向上や在庫管理の効率化をもたらし、コスト削減とリスクの低減を可能とします。さらに、EDIを導入する企業は、ほぼリアルタイムでの情報交換が可能になり、その結果としてサプライチェーンの取引も活発になります。大手企業ではEDI基盤で統合された鮮度の高いデータを活用し、サプライチェーンの見える化を実現しています。また今後は集約されたデータの分析をはじめ、AI活用のデータ基盤としての利用が期待されています。これらのEDIデータ活用方法により、迅速な対応が求められる市場環境において競争力を高めることができます。

3.2.1 具体的なメリットと数値

例えば、EDIの導入により受注処理の工数が30%削減され、エラーレートも50%低減した事例も報告されています。これにより、企業の運転資金の効率的な利用が可能となり、キャッシュフローの改善に寄与しています。

3.3 国内でのEDIの運用事例

国内の様々な企業がEDIを使ってサプライチェーンを効率化しています。具体例としては、グローバルにも展開している大手製造業では、EDIを通じて受発注プロセスを電子化し、作業時間を50%短縮しています。これにより、年々高まる顧客からの要求にも素早く対応できる体制が整いました。

一方、流通業界では大手スーパーが、EDIを利用して商品の追跡と在庫管理を効率化し、在庫過多や欠品のリスクを大幅に軽減しています。これにより、サプライチェーン全体の安定性が増し、顧客の信頼も向上しました。

3.3.1 EDI導入事例から学ぶポイント

実際の運用例から見ると、システムの導入だけでなく、社内の業務プロセスや文化自体も変えていく必要があることがわかります。特に、トップマネージメントの関与が重要となり、変革をリードする姿勢が求められます。昨今サプライチェーンの強靭化や高度化が大手企業の中期経営計画にも含まれ、トップマネージメントによる関与は非常に重要な要素となります。

4. サプライチェーンの可視化を実現するためのEDIデータ基盤構築ステップ

サプライチェーンの可視化を進めるにあたり、最も重要で見落としがちなのが、EDIデータ基盤の構築です。可視化するデータそのものが不正確では何の意味もありません。このセクションでは、具体的なステップを通じて効果的なデータ基盤構築の方法を詳しく解説します。以下のステップに沿って進めることで、無駄のない効率的なサプライチェーン管理が可能になります。

4.1 現状分析と要件定義

最初のステップは現状のサプライチェーンの分析と、何を改善したいかを明確にすることです。これには、現行システムの制約や課題の特定、取引先や業務部門からのニーズの特定が含まれます。特にデータの流れやボトルネックとなっている部分をしっかりと把握し、既存のEDIシステムの評価を行います。特にFAXやEメールで取引を行っている取引先のデジタル化は重要です。このように現状分析では、取引先とのリアルタイムなデータ交換が実現されているかをチェックし、改善の余地を探ります。また、ビジネスゴールを明確にし、これに沿って可視化に向けたEDIデータ基盤の要件を策定することが成功のカギとなります。

4.2 データ統合の方法

次に、取引先からのデータ統合の要件や仕様を確認します。これは、サプライチェーン全体で情報の一貫性を保つために欠かせないプロセスです。データの標準化やクレンジングを行い、統一されたデータ基盤を構築を目指します。重要なのは、データのシームレスなフローを確保することで、データロスや不整合を防ぐことです。サプライヤーや取引先間でのデータ形式の調査を行い、確実なデータの統合を目指します。この際にERP連携や他アプリケーションとの効率的なデータ統合もスコープに入れておくと良いでしょう。

4.3 システム選定と導入

続いて、適切なEDIデータ基盤のシステム選定を行います。市場にはさまざまなソリューションが存在しますが、自社のニーズに最も適したものを選ぶことが成功の鍵です。ここで重要なのは、EDIベンダーやコンサルティングファームなど専門の知識をもったパートナーに相談することです。EDIは、データの仕様が海外と国内、あるいは業界によって異なっていたりします。またAPI連携などシステム自体も日々進化しているため、これまで実現できなかったことが、今は当たり前のようにできていることも少なくありません。自社の課題や実現したいことを一度相談してみるとことが大事です。海外サプライヤーとのデータ連携や、システムの柔軟性や今後の拡張性など最適なソリューションを提案してくれるベンダーを選択しましょう。

5. 成功事例から学ぶサプライチェーン改善のポイント

5.1 大手メーカーの成功事例

ある大手自動車メーカーは、サプライチェーンの可視化を推進するためにEDIデータ基盤を活用し、大幅な効率化を達成しました。この企業では、部品調達から製造工程、流通プロセスを統合的に管理するシステムを構築し、情報の流れをスムーズにしました。さらに、リアルタイムでの情報共有を可能にすることで、サプライヤーとのコミュニケーションを強化したことで、納期が短縮され、コスト削減にも貢献しました。このように、サプライチェーン全体の透明性を高めることが、競争優位性の確立に繋がったのです。

6. サプライチェーン可視化の未来と展望

6.1 最新テクノロジーの活用

調達・購買などサプライチェーンの分野では最新テクノロジーの導入が企業の競争力を大きく左右する鍵となっています。一方で旧来のデータ仕様を一挙に変更することも、取引先の要望もあり難しいのが事実です。そこで旧来のデータも活用できかつ、最新技術を活用することで、リアルタイムなデータ取得と分析の精度が飛躍的に向上し、迅速で根拠のある意思決定が可能となります。これらの統合されたデータを活用することで、膨大なデータからの洞察を得られ、リスクを素早く検知し、迅速に対応していくことが可能です。

7. まとめ

サプライチェーンの可視化は、企業の競争力を向上させる鍵となります。EDIデータ基盤すなわちB2Bデータの統合基盤を活用すれば、情報のリアルタイム取得と共有が可能となり、効率的なサプライチェーン管理が実現できます。そして可視化を促進することで、リスクを顕在化させ、迅速な対応が可能となるため、安定的な調達・購買を実現し、企業利益にも寄与することが可能となります。より高度なサプライチェーン管理が期待されるなか、持続可能な成長を目指すためにも、EDIデータ基盤の刷新をご検討ください。

EDIデータ連携基盤(Business Network Cloud)についてご相談などございましたら、

こちらよりお問合せください。

https://www.opentext.com/ja-jp/contact

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1. サプライチェーン可視化の重要性と課題

サプライチェーンの可視化は、現代の複雑な経済環境において効果的に対応し、競争力を維持・強化するための基盤となる取り組みです。市場のグローバル化や消費者ニーズの多様化、そして不確実性が高まる現代において、企業は変化に迅速に対応できる柔軟性が求められます。サプライチェーンの各段階を可視化することにより、企業は最適な意思決定を行い、安定調達を図ることで市場における競争優位を確保することが可能になります。

1.1 サプライチェーン可視化が求められる背景

近年、ビジネス環境は急速な技術革新や市場のグローバル化の影響で以前よりも不確実性が増しています。さらに、環境問題や法令遵守が重要視される中、サプライチェーンの透明性と情報のリアルタイム共有の必要性がますます高まっています。これにより、企業はサプライチェーン全体の把握により業務を最適化し、リスクを管理することが求められ、調達・購買などサプライチェーン関連部門の重要性がますます高まっています。

1.2 可視化により得られるメリット

サプライチェーンの可視化によって得られるメリットは多岐にわたります。例えば、調達した部品や素材が納期通りに納入されるのか、また遅れる場合はいつ届くのかを把握できることで、緊急輸送の必要性の有無や、代替品または代替サプライヤーへの切り替えを迅速に行うことができ、生産への影響を最小限に抑えることができます。また、リードタイムの短縮や在庫の最適化、コスト削減などもあげられます。これはつまり、企業がより迅速かつ的確に注文および供給を調整する能力を意味します。さらに、上記が実現することで顧客対応のスピードと精度が格段に向上し、市場での競争優位性を確保できます。そして不測の事態にもより迅速に対応できるため、企業の信頼性向上にもつながります。

1.3 可視化が進まない理由と現状の課題

サプライチェーンの可視化が進まない主な理由には、企業間システム間のデータ連携の難しさや、組織内部での情報共有の困難さがあります。特に、既存システムが分断化している場合は、情報の一元管理が難しく、サプライチェーンの可視化を阻む大きな障害となります。また、データの精度や粒度、そして更新頻度にばらつきがある場合、正確な分析ができず、迅速な意思決定に必要な情報を得ることが困難になりかねません。

2. EDIデータ基盤の役割と特徴

2.1 EDIデータ基盤とは

EDIデータ基盤は、企業内外のさまざまなデータを一元管理し、分析や活用ができるようにするためのB2Bデータ統合基盤です。この仕組みにより、調達・購買、製造、物流、販売、経理・財務など各部門で生成される異なるデータを統合し、多面的そして横断的に活用することが可能となります。これにより、サプライチェーン全体のリアルタイム監視が実現し、リスクの軽減や迅速な意思決定を支える情報基盤を提供します。

2.2 EDIデータ基盤の重要な要素

効果的なEDIデータ基盤を構築するためには、いくつかの重要な要素が求められます。第一にはデータの統合性です。調達・購買データ、在庫データ、出荷データ、物流データなど、異なる形式で存在するデータを正確に統合し、一貫性や整合性を確保することが重要です。また統計によると、整合性の高いデータは業務効率を20%以上向上させることが知られています。次に、迅速な意思決定を支えるために不可欠なリアルタイム性があります。市場の変化に迅速に対応するためには、リアルタイムでのデータ提供が求められます。さらに、データセキュリティの確保も欠かせません。情報漏洩や不正アクセスを防止するため、常に最新のセキュリティ技術を活用し、リスクを最小限に抑える必要があります。

2.3 効果的なEDIデータ基盤構築のポイント

効果的なEDIデータ基盤を構築するには、まずビジネスのニーズを理解し、データ要件を明確にするしっかりとした要件定義が欠かせません。次に重要なのは、信頼できるベンダーとのパートナーシップの構築です。国内外で実績があり信頼できるベンダーを選定し、システムの導入を正確に行うことが、プロジェクトの成否を左右します。最後に、システムが導入された後も定期的なメンテナンスとアップデートが必要です。これまでは、多くの企業がオンプレミスのEDIシステムを自社で運用されてきましたが、API連携など最新のテクノロジーやセキュリティ対策、そして顧客や市場に合わせた柔軟性が必要とされるシステム運用には限界があります。そこでクラウド型の統合基盤とアウトソーシングサービスを活用することで、新しいビジネスニーズや技術の進化にも対応しつつ、より生産性の高い業務へ注力することが可能になります。

3. EDIデータの活用とサプライチェーンの効率化

3.1 EDIの概要と歴史

EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間でビジネス情報を電子データとして交換する仕組みです。その基本的な目的は、紙ベースの取引をデジタル化することで業務の効率化を図ることにあり、1970年代から国際的に広まりました。日本でも、主に製造業や流通業での活用が進んでいます。これにより、通信エラーの減少や人的ミスの低減が実現しました。

EDIの歴史を振り返ると、大手企業を中心にその導入が進み、グローバルなビジネス環境を構築する一助となりました。調達先のサプライヤーが海外企業であったり、また逆に海外のメーカーから国内サプライヤーから調達を行ったり、EDIを活用した取引が活発に行われるようになりました。今では幅広い業種で標準的な手法となっています。

3.2 EDIデータ基盤がサプライチェーンに与える影響

EDIデータ基盤の導入により、サプライチェーン管理は大きく変革しました。例えば、データの正確性が飛躍的に向上し、処理速度も格段に速くなりました。このことは、企業における注文処理速度の向上や在庫管理の効率化をもたらし、コスト削減とリスクの低減を可能とします。さらに、EDIを導入する企業は、ほぼリアルタイムでの情報交換が可能になり、その結果としてサプライチェーンの取引も活発になります。大手企業ではEDI基盤で統合された鮮度の高いデータを活用し、サプライチェーンの見える化を実現しています。また今後は集約されたデータの分析をはじめ、AI活用のデータ基盤としての利用が期待されています。これらのEDIデータ活用方法により、迅速な対応が求められる市場環境において競争力を高めることができます。

3.2.1 具体的なメリットと数値

例えば、EDIの導入により受注処理の工数が30%削減され、エラーレートも50%低減した事例も報告されています。これにより、企業の運転資金の効率的な利用が可能となり、キャッシュフローの改善に寄与しています。

3.3 国内でのEDIの運用事例

国内の様々な企業がEDIを使ってサプライチェーンを効率化しています。具体例としては、グローバルにも展開している大手製造業では、EDIを通じて受発注プロセスを電子化し、作業時間を50%短縮しています。これにより、年々高まる顧客からの要求にも素早く対応できる体制が整いました。

一方、流通業界では大手スーパーが、EDIを利用して商品の追跡と在庫管理を効率化し、在庫過多や欠品のリスクを大幅に軽減しています。これにより、サプライチェーン全体の安定性が増し、顧客の信頼も向上しました。

3.3.1 EDI導入事例から学ぶポイント

実際の運用例から見ると、システムの導入だけでなく、社内の業務プロセスや文化自体も変えていく必要があることがわかります。特に、トップマネージメントの関与が重要となり、変革をリードする姿勢が求められます。昨今サプライチェーンの強靭化や高度化が大手企業の中期経営計画にも含まれ、トップマネージメントによる関与は非常に重要な要素となります。

4. サプライチェーンの可視化を実現するためのEDIデータ基盤構築ステップ

サプライチェーンの可視化を進めるにあたり、最も重要で見落としがちなのが、EDIデータ基盤の構築です。可視化するデータそのものが不正確では何の意味もありません。このセクションでは、具体的なステップを通じて効果的なデータ基盤構築の方法を詳しく解説します。以下のステップに沿って進めることで、無駄のない効率的なサプライチェーン管理が可能になります。

4.1 現状分析と要件定義

最初のステップは現状のサプライチェーンの分析と、何を改善したいかを明確にすることです。これには、現行システムの制約や課題の特定、取引先や業務部門からのニーズの特定が含まれます。特にデータの流れやボトルネックとなっている部分をしっかりと把握し、既存のEDIシステムの評価を行います。特にFAXやEメールで取引を行っている取引先のデジタル化は重要です。このように現状分析では、取引先とのリアルタイムなデータ交換が実現されているかをチェックし、改善の余地を探ります。また、ビジネスゴールを明確にし、これに沿って可視化に向けたEDIデータ基盤の要件を策定することが成功のカギとなります。

4.2 データ統合の方法

次に、取引先からのデータ統合の要件や仕様を確認します。これは、サプライチェーン全体で情報の一貫性を保つために欠かせないプロセスです。データの標準化やクレンジングを行い、統一されたデータ基盤を構築を目指します。重要なのは、データのシームレスなフローを確保することで、データロスや不整合を防ぐことです。サプライヤーや取引先間でのデータ形式の調査を行い、確実なデータの統合を目指します。この際にERP連携や他アプリケーションとの効率的なデータ統合もスコープに入れておくと良いでしょう。

4.3 システム選定と導入

続いて、適切なEDIデータ基盤のシステム選定を行います。市場にはさまざまなソリューションが存在しますが、自社のニーズに最も適したものを選ぶことが成功の鍵です。ここで重要なのは、EDIベンダーやコンサルティングファームなど専門の知識をもったパートナーに相談することです。EDIは、データの仕様が海外と国内、あるいは業界によって異なっていたりします。またAPI連携などシステム自体も日々進化しているため、これまで実現できなかったことが、今は当たり前のようにできていることも少なくありません。自社の課題や実現したいことを一度相談してみるとことが大事です。海外サプライヤーとのデータ連携や、システムの柔軟性や今後の拡張性など最適なソリューションを提案してくれるベンダーを選択しましょう。

5. 成功事例から学ぶサプライチェーン改善のポイント

5.1 大手メーカーの成功事例

ある大手自動車メーカーは、サプライチェーンの可視化を推進するためにEDIデータ基盤を活用し、大幅な効率化を達成しました。この企業では、部品調達から製造工程、流通プロセスを統合的に管理するシステムを構築し、情報の流れをスムーズにしました。さらに、リアルタイムでの情報共有を可能にすることで、サプライヤーとのコミュニケーションを強化したことで、納期が短縮され、コスト削減にも貢献しました。このように、サプライチェーン全体の透明性を高めることが、競争優位性の確立に繋がったのです。

6. サプライチェーン可視化の未来と展望

6.1 最新テクノロジーの活用

調達・購買などサプライチェーンの分野では最新テクノロジーの導入が企業の競争力を大きく左右する鍵となっています。一方で旧来のデータ仕様を一挙に変更することも、取引先の要望もあり難しいのが事実です。そこで旧来のデータも活用できかつ、最新技術を活用することで、リアルタイムなデータ取得と分析の精度が飛躍的に向上し、迅速で根拠のある意思決定が可能となります。これらの統合されたデータを活用することで、膨大なデータからの洞察を得られ、リスクを素早く検知し、迅速に対応していくことが可能です。

7. まとめ

サプライチェーンの可視化は、企業の競争力を向上させる鍵となります。EDIデータ基盤すなわちB2Bデータの統合基盤を活用すれば、情報のリアルタイム取得と共有が可能となり、効率的なサプライチェーン管理が実現できます。そして可視化を促進することで、リスクを顕在化させ、迅速な対応が可能となるため、安定的な調達・購買を実現し、企業利益にも寄与することが可能となります。より高度なサプライチェーン管理が期待されるなか、持続可能な成長を目指すためにも、EDIデータ基盤の刷新をご検討ください。

EDIデータ連携基盤(Business Network Cloud)についてご相談などございましたら、

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SWIFT:ISO20022移行と企業間データ連携の統合基盤による全体最適 https://blogs.opentext.com/ja/swift-iso20022-jp/ Tue, 22 Oct 2024 04:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/swift-iso20022-jp/

ISO20022への移行は、企業にとって大きな変化であり、同時に大きなチャンスでもあります。特に、企業間データ連携やトレジャリー・マネジメントの効率化を図りたいと考えている企業にとって、ISO20022は必須の知識と言えるでしょう。この記事では、ISO20022の基礎知識からSWIFTにおける移行の背景、企業間データ連携における役割、そして移行への対応と課題、さらには具体的な成功事例まで、網羅的に解説します。これにより、ISO20022がもたらすコスト削減、効率性向上、データ品質向上といったメリットを最大限に享受するための具体的な方法を理解することができます。また、メガバンクや地方銀行といった金融機関だけでなく、製造業や流通業など、あらゆる業界の企業が直面するシステム改修のポイントや課題、そしてその解決策についても学ぶことができます。最終的には、ISO20022移行後の展望を理解し、今後のビジネス戦略策定に役立つインサイトを得ることが可能になります。つまり、この記事を読むことで、ISO20022を正しく理解し、自社における最適な導入戦略を立案するための準備を整えることができるのです。

1. ISO20022とは何か

ISO20022は、金融メッセージの送受信のための国際標準規格です。XMLベースのフォーマットで、金融取引に関する情報を構造化された形で表現することができます。従来のSWIFT MTメッセージとは異なり、より豊富な情報を含めることができ、処理の自動化や効率化に貢献します。具体的には、顧客情報、取引の詳細、決済情報などを標準化されたタグを用いて記述することで、システム間の相互運用性を高めます。また、拡張性が高いため、新しい金融商品やサービスにも柔軟に対応できます。

1.1 ISO20022の概要

ISO20022は、国際標準化機構(ISO)によって策定された金融メッセージングの規格です。2004年に初版が発行され、その後も改訂が続けられています。この規格は、金融機関同士だけでなく、企業や政府機関など、あらゆる組織間での金融取引をカバーすることを目的としています。世界中で広く採用されており、国際的な金融取引の効率化と安全性向上に大きく貢献しています。ISO20022は、単なるメッセージフォーマットの定義だけでなく、メッセージの作成、送受信、処理に関するルールやガイドラインも提供しています。これにより、システム間の相互運用性とデータ品質が確保されます。

1.2 ISO20022のメリット

ISO20022の導入には、多くのメリットがあります。データの標準化により、システム間のデータ交換がスムーズになり、手作業によるデータ入力や変換の必要性が減少します。また、豊富な情報量により、コンプライアンスチェックやリスク管理の精度向上にも繋がります。さらに、ストレート・スルー・プロセッシング(STP)の実現により、業務効率化とコスト削減が期待できます。

1.2.1 コスト削減

ISO20022の導入により、手作業による処理が削減されるため、人件費や事務処理コストを削減できます。また、エラー発生率の低下により、修正作業にかかるコストも削減できます。システム統合のコスト削減にも繋がり、全体的なコスト効率の改善に貢献します。

1.2.2 効率性の向上

リアルタイムに近いデータ処理が可能になるため、業務のスピードアップを実現できます。自動化により、人的ミスを減らし、業務の正確性を向上させることができます。また、データの再利用性が高まるため、複数の業務で同じデータを使用することができ、効率的な運用が可能になります。

1.2.3 データ品質の向上

ISO20022は、標準化されたデータ構造を採用しているため、データの整合性と正確性が向上します。データの解釈の誤解が減り、より信頼性の高いデータに基づいた意思決定が可能になります。また、データ品質の向上は、コンプライアンス遵守にも役立ちます。

2. SWIFTにおけるISO20022移行の背景

SWIFT(国際銀行間金融通信協会)は、国際的な金融取引において銀行間メッセージの送受信を支える重要なインフラです。長年にわたり金融業界の標準として機能してきましたが、近年のグローバル化やデジタル化の進展に伴い、いくつかの課題に直面しています。

2.1 SWIFTの現状と課題

SWIFTは現在、MT(Message Type)と呼ばれるフォーマットでメッセージを送受信しています。しかし、このMTフォーマットは情報量に限界があり、複雑な金融取引の処理に不適応になりつつあります。例えば、送金指示に含まれる情報が不足していると、コンプライアンスチェックや支払処理に遅延が生じる可能性があります。また、手動でのデータ入力や修正が必要となるケースも多く、人的ミスや非効率性を招く原因となっています。さらに、データ構造が複雑で標準化されていないため、システム連携の難易度が高く、コスト増につながる場合もあります。加えて、リアルタイム決済への対応が遅れていることも課題として挙げられます。近年のフィンテック企業の台頭により、リアルタイム決済への需要が高まっていますが、既存のSWIFTシステムでは迅速な対応が難しい状況です。

2.2 ISO20022移行の必要性

これらの課題を解決するために、SWIFTはISO20022への移行を進めています。ISO20022は、XMLベースの国際標準メッセージフォーマットであり、豊富な情報量、高い柔軟性、そして標準化されたデータ構造を特徴としています。ISO20022への移行により、より詳細な情報をメッセージに含めることが可能となり、コンプライアンスチェックの強化、支払処理の自動化、そしてリアルタイム決済への対応が可能になります。結果として、業務効率の向上、コスト削減、リスク管理の強化といったメリットが期待されます。また、データ分析精度の向上も期待できます。より詳細なデータを取得できるようになるため、ビジネスインテリジェンスの強化や新たな金融サービスの開発にもつながります。さらに、国際的な相互運用性の向上も重要なポイントです。世界中の金融機関が共通のフォーマットを使用することで、クロスボーダー取引の効率化と透明性の向上が期待されます。国内の全銀システムもISO20022に準拠した次世代システムへの移行を進めており、SWIFTとの連携強化によって、よりシームレスな国際金融取引が実現されるでしょう。この移行は、金融業界全体にとって大きな変革であり、将来の金融インフラの基盤となることが期待されています。

3. 企業間データ連携におけるISO20022の役割

グローバル化が加速する現代において、企業間の取引は国境を越えて複雑化しています。それに伴い、企業間でやり取りされるデータの量も増加し、そのデータ形式の標準化が不可欠となっています。ISO20022は、まさにこの課題を解決するための国際標準規格であり、企業間データ連携に革新的な変化をもたらしています。

3.1 企業間データ連携の現状

従来の企業間データ連携では、業界や企業ごとに独自のフォーマットが使用されることが多く、データ交換の際に変換作業が必要となるなど、非効率な状況でした。異なるシステム間でのデータの互換性も低く、連携コストの増加やエラー発生のリスクも高まっていました。特に、銀行との取引においては、フォーマットの不一致による処理の遅延や手数料の発生といった問題が顕著でした。また、データのセキュリティ確保も重要な課題であり、機密情報の漏洩リスクへの対策も求められていました。

3.2 ISO20022によるデータ連携の最適化

ISO20022は、XMLベースのメッセージフォーマットを定義しており、データの構造化と意味付けを可能にします。これにより、異なるシステム間でもシームレスなデータ交換が可能となり、連携コストの削減、処理速度の向上、エラー発生率の低減といったメリットが得られます。データの精度と信頼性も向上するため、より正確な意思決定を支援することが可能になります。さらに、ISO20022は拡張性が高く、将来的なビジネスニーズの変化にも柔軟に対応できるため、長期的な視点でのシステム構築に最適です。

例えば、これまで個別にやり取りされていた請求書情報、支払情報、送金情報などが、ISO20022によって標準化されたフォーマットで一括して送受信できるようになります。これにより、業務プロセスの自動化が促進され、大幅な効率化を実現できます。また、データ分析の精度向上にも繋がり、経営戦略策定に役立つインサイトを得ることも可能になります。

3.3 トレジャリー・マネージメントにおける効果

ISO20022は、特に資金効率化・決済効率化・事務効率化を実現する財務管理のトレジャリー・マネージメントにおいて大きな効果を発揮します。リアルタイムでの資金状況の把握が可能となり、資金繰りの最適化やリスク管理の強化に貢献します。また、国際的な資金移動の効率化も実現し、グローバルビジネスの展開をスムーズにします。具体的には、以下のような効果が期待できます。

3.3.1 資金の可視化向上

ISO20022の導入により、複数口座の残高情報や取引明細をリアルタイムで統合的に管理することが可能になります。これにより、資金の可視性が向上し、より精度の高いキャッシュフロー予測や資金繰り計画の立案が可能になります。例えば、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など国内の金融機関をはじめ、海外の銀行など複数の銀行口座を保有している企業でも、ISO20022対応のシステムを導入することで、全口座の残高を一元管理し、リアルタイムで資金状況を把握できるようになります。

3.3.2 支払処理の効率化

ISO20022は、請求書や支払情報の自動処理を可能にし、支払処理にかかる時間とコストを大幅に削減します。例えば、請求書の受領から支払処理までのプロセスを自動化することで、人為的なミスを削減し、処理時間を短縮することができます。また、支払情報のデジタル化により、ペーパーレス化も促進されます。

3.3.3 コンプライアンス強化

ISO20022は、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策といったコンプライアンス強化にも役立ちます。取引データの透明性が高まることで、不正行為の検知やリスク管理が容易になります。例えば、取引相手の詳細情報や取引内容を正確に記録・管理することで、コンプライアンスリスクを低減することができます。

4. ISO20022移行への対応と課題

ISO20022への移行は、あらゆる企業にとって重要な課題となっています。スムーズな移行を実現するためには、綿密な準備と適切な対応策が不可欠です。本章では、ISO20022移行に向けた準備、システム改修のポイント、そして企業が抱える課題と解決策について詳しく解説します。

4.1 移行に向けた準備

ISO20022移行を成功させるためには、事前の準備が極めて重要です。まず、現状のシステムやデータフローを詳細に分析し、ISO20022への移行による影響範囲を明確にする必要があります。影響範囲の特定に基づき、プロジェクト計画を策定し、必要なリソース(人材、予算、時間など)を確保します。計画策定段階では、関係部署との連携を密にすることが重要です。財務部門、経理部門、システム部門など、関連するすべての部門を巻き込み、プロジェクトチームを結成することで、スムーズな情報共有と意思決定を促進できます。さらに、ISO20022に関する知識習得も欠かせません。社内研修や外部セミナーなどを活用し、担当者に必要な知識を習得させ、プロジェクトの円滑な進行を支援する体制を整える必要があります。テスト環境の構築も重要な準備項目です。本番環境への影響を最小限に抑えるため、十分なテストを実施できる環境を事前に準備しておくことが重要です。

4.2 システム改修のポイント

ISO20022への移行に伴い、多くの企業では既存システムを改修するか、今後の拡張性を鑑みてシステムを移行する必要となります。システム改修のポイントは、データマッピングの正確性です。既存のデータフォーマットからISO20022のXMLフォーマットへの変換を正確に行う必要があり、変換ルールの定義や検証を慎重に進めることが重要です。また、システムの拡張性としては、将来的な取引量の増加や新たなメッセージタイプの追加に対応できるよう、柔軟性と拡張性を備えたシステム設計が求められます。さらに、システムのパフォーマンスも重要な要素です。ISO20022ではデータ量が増加するため、システムの処理能力を向上させるための対策が必要となる場合があります。ハードウェアの増強やソフトウェアの最適化など、パフォーマンスの維持・向上に向けた取り組みが重要です。セキュリティ対策も忘れてはなりません。機密性の高い金融情報を扱うため、強固なセキュリティ対策を施す必要があります。暗号化技術の導入やアクセス制御の強化など、セキュリティリスクへの適切な対応が不可欠です。

4.3 企業が抱える課題と解決策

ISO20022移行には、様々な課題が伴います。まず、システム改修にかかるコストが挙げられます。既存システムの大規模な改修が必要となる場合、多額の費用が発生する可能性があります。コストを抑えるためには、クラウドサービスの活用や外部ベンダーとの連携などを検討する必要があります。次に、人材不足も大きな課題です。ISO20022に関する専門知識を持つ人材は限られており、プロジェクトの推進に支障をきたす可能性があります。社内研修の実施や外部コンサルタントの活用など、人材確保に向けた対策が重要です。また、取引先との連携も課題となります。ISO20022への対応状況は企業によって異なるため、取引先との間でデータ交換の互換性を確保する必要があります。事前に取引先との調整を行い、スムーズな移行を実現することが重要です。これらの課題に対して、段階的な移行を検討することも有効な解決策となります。システム全体を一斉に移行するのではなく、一部のシステムから段階的に移行を進めることで、リスクを軽減し、スムーズな移行を実現できます。また、外部ベンダーの活用も有効な手段です。専門的な知識や技術を持つ外部ベンダーにシステム改修やプロジェクト管理を委託することで、効率的な移行を実現できます。

5. ISO20022移行後の展望

ISO20022への移行は、金融業界はもとより、グローバルに展開する企業に大きな変革をもたらすでしょう。データの標準化と豊富な情報量により、これまで以上に高度なデータ活用が可能となり、新たなビジネスチャンスの創出が期待されます。同時に、企業は変化への対応と更なる最適化を継続的に行っていく必要性に迫られます。

5.1 今後の金融業界への影響

ISO20022への移行は、決済処理の効率化と迅速化はもとより、コンプライアンス強化リスク管理の高度化、そして新たな金融サービスの創出といった面で大きな変化が予想されます。例えば、リアルタイム決済の普及や、AIを活用した不正検知の精度向上などが実現可能となるでしょう。また、オープンバンキングの進展にも拍車がかかり、FinTech企業との連携強化による新たなエコシステムの形成も期待されます。

国際的な金融取引の円滑化も大きなメリットです。世界共通のフォーマットを用いることで、国境を越えた取引におけるデータ交換の効率性と正確性が向上し、グローバルビジネスの拡大を促進するでしょう。特に、新興国市場との取引においては、これまで以上にスムーズな資金移動と情報共有が可能となり、新たなビジネスチャンスの獲得に繋がる可能性があります。

5.2 企業間データ連携の未来

ISO20022は企業間データ連携の未来を大きく変える可能性を秘めています。企業間のデータ連携では、SWIFTによる金融機関とのデータ連携と同様に、調達・購買部門などサプライチェーン業務においても、取引先や顧客と標準化されたデータフォーマットを用いたデータを連携することで、サプライチェーン全体の効率化が加速します。例えば、受発注データや請求書データの自動交換、在庫管理の最適化などが可能となり、企業の生産性向上に大きく貢献するでしょう。特に、製造業においては、海外の取引先とのデータ連携基盤を活用できるようになることで、ビジネスの成長を促進する大きなチャンスとなります。

データ活用の高度化も期待されます。データ連携基盤を導入することで、蓄積された取引データの可視化や分析、AIや機械学習を活用した需要予測やリスク管理なども実現可能となり、企業の意思決定の精度向上に貢献するでしょう。

5.2.1 新たなビジネスモデルの創出

ISO20022は、海外を含めた複数の金融機関とデータ連携することで、トレジャリー・マネージメントによる新たなビジネスモデルを創出する機会となります。そして、財務部門だけではなく、調達・購買、物流、販売部門に必要なデータ連携を包含した、データ統合プラットフォームを構築することで、業界内外の企業と連携し、新たなサービスや製品を開発することが可能になります。例えば、物流業界では、荷物の追跡情報をリアルタイムで共有することで、輸送効率の向上やコスト削減を実現するサービスが既に展開されています。また、製造業では、サプライヤーとのデータ連携を強化することで、生産計画の最適化や在庫管理の効率化を実現する取り組みが進んでいます。このように、データ統合基盤は、ISO20022によるSWIFT連携だけではなく、将来を見据えた企業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、新たな価値創造を促進する重要な役割を担うでしょう。

6. まとめ

この記事では、SWIFTにおけるISO20022や移行による財務部門におけるトレジャリー・マネージメントにおけるメリットと、調達・購買など他部門で必要とされるデータ連携を含めた、企業全体のデータ連携の最適化について解説しました。SWIFTは国際送金メッセージの標準化団体であり、既存システムの老朽化やデータ量の増加といった課題に対応するため、ISO20022への移行を進めています。ISO20022は、XMLベースの国際標準フォーマットであり、コスト削減、効率性向上、データ品質向上といったメリットがあります。

そして、ISO20022は特にトレジャリー・マネージメントにおいては、資金の可視化向上や効率的な資金管理を実現する上で不可欠です。さらに、財務部門だけの部分最適だけではなく、調達・購買、物流、販売といった各部門で必要とされる各種メッセージフォーマットを含めたデータ統合基盤を構築することで、IT・情報システム部門の業務までも最適化を図ることが可能となり、トータルで全体最適化を実現することで企業全体の利益に貢献すること考えられ、社外とのデータ連携基盤は今後より一層重要となります。

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ISO20022への移行は、企業にとって大きな変化であり、同時に大きなチャンスでもあります。特に、企業間データ連携やトレジャリー・マネジメントの効率化を図りたいと考えている企業にとって、ISO20022は必須の知識と言えるでしょう。この記事では、ISO20022の基礎知識からSWIFTにおける移行の背景、企業間データ連携における役割、そして移行への対応と課題、さらには具体的な成功事例まで、網羅的に解説します。これにより、ISO20022がもたらすコスト削減、効率性向上、データ品質向上といったメリットを最大限に享受するための具体的な方法を理解することができます。また、メガバンクや地方銀行といった金融機関だけでなく、製造業や流通業など、あらゆる業界の企業が直面するシステム改修のポイントや課題、そしてその解決策についても学ぶことができます。最終的には、ISO20022移行後の展望を理解し、今後のビジネス戦略策定に役立つインサイトを得ることが可能になります。つまり、この記事を読むことで、ISO20022を正しく理解し、自社における最適な導入戦略を立案するための準備を整えることができるのです。

1. ISO20022とは何か

ISO20022は、金融メッセージの送受信のための国際標準規格です。XMLベースのフォーマットで、金融取引に関する情報を構造化された形で表現することができます。従来のSWIFT MTメッセージとは異なり、より豊富な情報を含めることができ、処理の自動化や効率化に貢献します。具体的には、顧客情報、取引の詳細、決済情報などを標準化されたタグを用いて記述することで、システム間の相互運用性を高めます。また、拡張性が高いため、新しい金融商品やサービスにも柔軟に対応できます。

1.1 ISO20022の概要

ISO20022は、国際標準化機構(ISO)によって策定された金融メッセージングの規格です。2004年に初版が発行され、その後も改訂が続けられています。この規格は、金融機関同士だけでなく、企業や政府機関など、あらゆる組織間での金融取引をカバーすることを目的としています。世界中で広く採用されており、国際的な金融取引の効率化と安全性向上に大きく貢献しています。ISO20022は、単なるメッセージフォーマットの定義だけでなく、メッセージの作成、送受信、処理に関するルールやガイドラインも提供しています。これにより、システム間の相互運用性とデータ品質が確保されます。

1.2 ISO20022のメリット

ISO20022の導入には、多くのメリットがあります。データの標準化により、システム間のデータ交換がスムーズになり、手作業によるデータ入力や変換の必要性が減少します。また、豊富な情報量により、コンプライアンスチェックやリスク管理の精度向上にも繋がります。さらに、ストレート・スルー・プロセッシング(STP)の実現により、業務効率化とコスト削減が期待できます。

1.2.1 コスト削減

ISO20022の導入により、手作業による処理が削減されるため、人件費や事務処理コストを削減できます。また、エラー発生率の低下により、修正作業にかかるコストも削減できます。システム統合のコスト削減にも繋がり、全体的なコスト効率の改善に貢献します。

1.2.2 効率性の向上

リアルタイムに近いデータ処理が可能になるため、業務のスピードアップを実現できます。自動化により、人的ミスを減らし、業務の正確性を向上させることができます。また、データの再利用性が高まるため、複数の業務で同じデータを使用することができ、効率的な運用が可能になります。

1.2.3 データ品質の向上

ISO20022は、標準化されたデータ構造を採用しているため、データの整合性と正確性が向上します。データの解釈の誤解が減り、より信頼性の高いデータに基づいた意思決定が可能になります。また、データ品質の向上は、コンプライアンス遵守にも役立ちます。

2. SWIFTにおけるISO20022移行の背景

SWIFT(国際銀行間金融通信協会)は、国際的な金融取引において銀行間メッセージの送受信を支える重要なインフラです。長年にわたり金融業界の標準として機能してきましたが、近年のグローバル化やデジタル化の進展に伴い、いくつかの課題に直面しています。

2.1 SWIFTの現状と課題

SWIFTは現在、MT(Message Type)と呼ばれるフォーマットでメッセージを送受信しています。しかし、このMTフォーマットは情報量に限界があり、複雑な金融取引の処理に不適応になりつつあります。例えば、送金指示に含まれる情報が不足していると、コンプライアンスチェックや支払処理に遅延が生じる可能性があります。また、手動でのデータ入力や修正が必要となるケースも多く、人的ミスや非効率性を招く原因となっています。さらに、データ構造が複雑で標準化されていないため、システム連携の難易度が高く、コスト増につながる場合もあります。加えて、リアルタイム決済への対応が遅れていることも課題として挙げられます。近年のフィンテック企業の台頭により、リアルタイム決済への需要が高まっていますが、既存のSWIFTシステムでは迅速な対応が難しい状況です。

2.2 ISO20022移行の必要性

これらの課題を解決するために、SWIFTはISO20022への移行を進めています。ISO20022は、XMLベースの国際標準メッセージフォーマットであり、豊富な情報量、高い柔軟性、そして標準化されたデータ構造を特徴としています。ISO20022への移行により、より詳細な情報をメッセージに含めることが可能となり、コンプライアンスチェックの強化、支払処理の自動化、そしてリアルタイム決済への対応が可能になります。結果として、業務効率の向上、コスト削減、リスク管理の強化といったメリットが期待されます。また、データ分析精度の向上も期待できます。より詳細なデータを取得できるようになるため、ビジネスインテリジェンスの強化や新たな金融サービスの開発にもつながります。さらに、国際的な相互運用性の向上も重要なポイントです。世界中の金融機関が共通のフォーマットを使用することで、クロスボーダー取引の効率化と透明性の向上が期待されます。国内の全銀システムもISO20022に準拠した次世代システムへの移行を進めており、SWIFTとの連携強化によって、よりシームレスな国際金融取引が実現されるでしょう。この移行は、金融業界全体にとって大きな変革であり、将来の金融インフラの基盤となることが期待されています。

3. 企業間データ連携におけるISO20022の役割

グローバル化が加速する現代において、企業間の取引は国境を越えて複雑化しています。それに伴い、企業間でやり取りされるデータの量も増加し、そのデータ形式の標準化が不可欠となっています。ISO20022は、まさにこの課題を解決するための国際標準規格であり、企業間データ連携に革新的な変化をもたらしています。

3.1 企業間データ連携の現状

従来の企業間データ連携では、業界や企業ごとに独自のフォーマットが使用されることが多く、データ交換の際に変換作業が必要となるなど、非効率な状況でした。異なるシステム間でのデータの互換性も低く、連携コストの増加やエラー発生のリスクも高まっていました。特に、銀行との取引においては、フォーマットの不一致による処理の遅延や手数料の発生といった問題が顕著でした。また、データのセキュリティ確保も重要な課題であり、機密情報の漏洩リスクへの対策も求められていました。

3.2 ISO20022によるデータ連携の最適化

ISO20022は、XMLベースのメッセージフォーマットを定義しており、データの構造化と意味付けを可能にします。これにより、異なるシステム間でもシームレスなデータ交換が可能となり、連携コストの削減、処理速度の向上、エラー発生率の低減といったメリットが得られます。データの精度と信頼性も向上するため、より正確な意思決定を支援することが可能になります。さらに、ISO20022は拡張性が高く、将来的なビジネスニーズの変化にも柔軟に対応できるため、長期的な視点でのシステム構築に最適です。

例えば、これまで個別にやり取りされていた請求書情報、支払情報、送金情報などが、ISO20022によって標準化されたフォーマットで一括して送受信できるようになります。これにより、業務プロセスの自動化が促進され、大幅な効率化を実現できます。また、データ分析の精度向上にも繋がり、経営戦略策定に役立つインサイトを得ることも可能になります。

3.3 トレジャリー・マネージメントにおける効果

ISO20022は、特に資金効率化・決済効率化・事務効率化を実現する財務管理のトレジャリー・マネージメントにおいて大きな効果を発揮します。リアルタイムでの資金状況の把握が可能となり、資金繰りの最適化やリスク管理の強化に貢献します。また、国際的な資金移動の効率化も実現し、グローバルビジネスの展開をスムーズにします。具体的には、以下のような効果が期待できます。

3.3.1 資金の可視化向上

ISO20022の導入により、複数口座の残高情報や取引明細をリアルタイムで統合的に管理することが可能になります。これにより、資金の可視性が向上し、より精度の高いキャッシュフロー予測や資金繰り計画の立案が可能になります。例えば、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など国内の金融機関をはじめ、海外の銀行など複数の銀行口座を保有している企業でも、ISO20022対応のシステムを導入することで、全口座の残高を一元管理し、リアルタイムで資金状況を把握できるようになります。

3.3.2 支払処理の効率化

ISO20022は、請求書や支払情報の自動処理を可能にし、支払処理にかかる時間とコストを大幅に削減します。例えば、請求書の受領から支払処理までのプロセスを自動化することで、人為的なミスを削減し、処理時間を短縮することができます。また、支払情報のデジタル化により、ペーパーレス化も促進されます。

3.3.3 コンプライアンス強化

ISO20022は、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策といったコンプライアンス強化にも役立ちます。取引データの透明性が高まることで、不正行為の検知やリスク管理が容易になります。例えば、取引相手の詳細情報や取引内容を正確に記録・管理することで、コンプライアンスリスクを低減することができます。

4. ISO20022移行への対応と課題

ISO20022への移行は、あらゆる企業にとって重要な課題となっています。スムーズな移行を実現するためには、綿密な準備と適切な対応策が不可欠です。本章では、ISO20022移行に向けた準備、システム改修のポイント、そして企業が抱える課題と解決策について詳しく解説します。

4.1 移行に向けた準備

ISO20022移行を成功させるためには、事前の準備が極めて重要です。まず、現状のシステムやデータフローを詳細に分析し、ISO20022への移行による影響範囲を明確にする必要があります。影響範囲の特定に基づき、プロジェクト計画を策定し、必要なリソース(人材、予算、時間など)を確保します。計画策定段階では、関係部署との連携を密にすることが重要です。財務部門、経理部門、システム部門など、関連するすべての部門を巻き込み、プロジェクトチームを結成することで、スムーズな情報共有と意思決定を促進できます。さらに、ISO20022に関する知識習得も欠かせません。社内研修や外部セミナーなどを活用し、担当者に必要な知識を習得させ、プロジェクトの円滑な進行を支援する体制を整える必要があります。テスト環境の構築も重要な準備項目です。本番環境への影響を最小限に抑えるため、十分なテストを実施できる環境を事前に準備しておくことが重要です。

4.2 システム改修のポイント

ISO20022への移行に伴い、多くの企業では既存システムを改修するか、今後の拡張性を鑑みてシステムを移行する必要となります。システム改修のポイントは、データマッピングの正確性です。既存のデータフォーマットからISO20022のXMLフォーマットへの変換を正確に行う必要があり、変換ルールの定義や検証を慎重に進めることが重要です。また、システムの拡張性としては、将来的な取引量の増加や新たなメッセージタイプの追加に対応できるよう、柔軟性と拡張性を備えたシステム設計が求められます。さらに、システムのパフォーマンスも重要な要素です。ISO20022ではデータ量が増加するため、システムの処理能力を向上させるための対策が必要となる場合があります。ハードウェアの増強やソフトウェアの最適化など、パフォーマンスの維持・向上に向けた取り組みが重要です。セキュリティ対策も忘れてはなりません。機密性の高い金融情報を扱うため、強固なセキュリティ対策を施す必要があります。暗号化技術の導入やアクセス制御の強化など、セキュリティリスクへの適切な対応が不可欠です。

4.3 企業が抱える課題と解決策

ISO20022移行には、様々な課題が伴います。まず、システム改修にかかるコストが挙げられます。既存システムの大規模な改修が必要となる場合、多額の費用が発生する可能性があります。コストを抑えるためには、クラウドサービスの活用や外部ベンダーとの連携などを検討する必要があります。次に、人材不足も大きな課題です。ISO20022に関する専門知識を持つ人材は限られており、プロジェクトの推進に支障をきたす可能性があります。社内研修の実施や外部コンサルタントの活用など、人材確保に向けた対策が重要です。また、取引先との連携も課題となります。ISO20022への対応状況は企業によって異なるため、取引先との間でデータ交換の互換性を確保する必要があります。事前に取引先との調整を行い、スムーズな移行を実現することが重要です。これらの課題に対して、段階的な移行を検討することも有効な解決策となります。システム全体を一斉に移行するのではなく、一部のシステムから段階的に移行を進めることで、リスクを軽減し、スムーズな移行を実現できます。また、外部ベンダーの活用も有効な手段です。専門的な知識や技術を持つ外部ベンダーにシステム改修やプロジェクト管理を委託することで、効率的な移行を実現できます。

5. ISO20022移行後の展望

ISO20022への移行は、金融業界はもとより、グローバルに展開する企業に大きな変革をもたらすでしょう。データの標準化と豊富な情報量により、これまで以上に高度なデータ活用が可能となり、新たなビジネスチャンスの創出が期待されます。同時に、企業は変化への対応と更なる最適化を継続的に行っていく必要性に迫られます。

5.1 今後の金融業界への影響

ISO20022への移行は、決済処理の効率化と迅速化はもとより、コンプライアンス強化リスク管理の高度化、そして新たな金融サービスの創出といった面で大きな変化が予想されます。例えば、リアルタイム決済の普及や、AIを活用した不正検知の精度向上などが実現可能となるでしょう。また、オープンバンキングの進展にも拍車がかかり、FinTech企業との連携強化による新たなエコシステムの形成も期待されます。

国際的な金融取引の円滑化も大きなメリットです。世界共通のフォーマットを用いることで、国境を越えた取引におけるデータ交換の効率性と正確性が向上し、グローバルビジネスの拡大を促進するでしょう。特に、新興国市場との取引においては、これまで以上にスムーズな資金移動と情報共有が可能となり、新たなビジネスチャンスの獲得に繋がる可能性があります。

5.2 企業間データ連携の未来

ISO20022は企業間データ連携の未来を大きく変える可能性を秘めています。企業間のデータ連携では、SWIFTによる金融機関とのデータ連携と同様に、調達・購買部門などサプライチェーン業務においても、取引先や顧客と標準化されたデータフォーマットを用いたデータを連携することで、サプライチェーン全体の効率化が加速します。例えば、受発注データや請求書データの自動交換、在庫管理の最適化などが可能となり、企業の生産性向上に大きく貢献するでしょう。特に、製造業においては、海外の取引先とのデータ連携基盤を活用できるようになることで、ビジネスの成長を促進する大きなチャンスとなります。

データ活用の高度化も期待されます。データ連携基盤を導入することで、蓄積された取引データの可視化や分析、AIや機械学習を活用した需要予測やリスク管理なども実現可能となり、企業の意思決定の精度向上に貢献するでしょう。

5.2.1 新たなビジネスモデルの創出

ISO20022は、海外を含めた複数の金融機関とデータ連携することで、トレジャリー・マネージメントによる新たなビジネスモデルを創出する機会となります。そして、財務部門だけではなく、調達・購買、物流、販売部門に必要なデータ連携を包含した、データ統合プラットフォームを構築することで、業界内外の企業と連携し、新たなサービスや製品を開発することが可能になります。例えば、物流業界では、荷物の追跡情報をリアルタイムで共有することで、輸送効率の向上やコスト削減を実現するサービスが既に展開されています。また、製造業では、サプライヤーとのデータ連携を強化することで、生産計画の最適化や在庫管理の効率化を実現する取り組みが進んでいます。このように、データ統合基盤は、ISO20022によるSWIFT連携だけではなく、将来を見据えた企業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、新たな価値創造を促進する重要な役割を担うでしょう。

6. まとめ

この記事では、SWIFTにおけるISO20022や移行による財務部門におけるトレジャリー・マネージメントにおけるメリットと、調達・購買など他部門で必要とされるデータ連携を含めた、企業全体のデータ連携の最適化について解説しました。SWIFTは国際送金メッセージの標準化団体であり、既存システムの老朽化やデータ量の増加といった課題に対応するため、ISO20022への移行を進めています。ISO20022は、XMLベースの国際標準フォーマットであり、コスト削減、効率性向上、データ品質向上といったメリットがあります。

そして、ISO20022は特にトレジャリー・マネージメントにおいては、資金の可視化向上や効率的な資金管理を実現する上で不可欠です。さらに、財務部門だけの部分最適だけではなく、調達・購買、物流、販売といった各部門で必要とされる各種メッセージフォーマットを含めたデータ統合基盤を構築することで、IT・情報システム部門の業務までも最適化を図ることが可能となり、トータルで全体最適化を実現することで企業全体の利益に貢献すること考えられ、社外とのデータ連携基盤は今後より一層重要となります。

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NECは、OpenText Business Network Cloudを採用し、次世代EDIを構築 https://blogs.opentext.com/ja/bn-user-case-studies-nec-jp/ Tue, 11 Jun 2024 04:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/bn-user-case-studies-nec-jp/

「ITサービス事業」と「社会インフラ事業」をグローバル展開する日本電気株式会社(以下、NEC)。最先端のテクノロジーを活用して社内DX を進める同社は、社内システムや外部企業とのデータ統合のための共通データ連携プラットフォームにOpenText Business Network Cloud を採用し、次世代EDIを構築。これにより、多種多様な連携手段への柔軟性確保、コスト削減、開発リードタイムの短縮、エンドツーエンドでの事業継続性確保を実現しています。

自社で先進的な社内DXを実践し蓄積したナレッジをお客様や社会に還元

NECは、2025年の中期経営計画で「社内DX」「お客様DX」「社会DX」を経営の中核に設定しています。NECは自らをゼロ番目の顧客として最先端のテクノロジーを活用し、社内DXによって創出した価値、ナレッジをお客様や社会に還元していく「クライアントゼロ」の方針を打ち出しています。
社内DXでは働き方、営業・基幹業務、運用の3つのDX をスコープに統合エクスペリエンス、データプラットフォーム、ITインフラ&セキュリティの共通施策を推進。営業・基幹業務のDXにおけるデータ戦略ではエンドツーエンドでのデータ集約・活用による企業の高度化、プラットフォームではOne Data/One Place/OneFactの実現と、社内外との全体最適でデータ連携を目指しています。

コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部シニアディレクターの中田俊彦氏は「データに基づき経営のスピードや質を向上させ、迅速に意思決定・アクションを実行することがNECの目指すデータドリブン経営です」と語ります。

データの価値を最大限に引き出すデータ連携プラットフォーム

NECはデータドリブン経営に向け、セキュリティ、デジタルアーキテクチャ・インフラストラクチャ、AIを含むNECのデジタル基盤をベースに、周辺領域にデータプラットフォーム、デジタルコアプロセス、統合エクスペリエンス&オペレーションマネジメントを配置して、グローバル戦略パートナーとベストプラクティスを組み合わせた“One NEC System”を推進。エンドツーエンドの連携によりデータの価値を最大限に引き出すためのコアがデータ連携プラットフォームです。データ連携を重視する背景には、サプライチェーンリスク、グローバル競争力、ビジネス環境の変化、事業継続性の担保への対応があります。

「社内でオンプレミスからクラウドまでつながるシステムが増え、外部でも従来の販売・調達パートナーに加え、金融機関や官公庁など接続先の多様化が進んでいます。これまで個別につなげてきたものを全体最適でつなげていくことが重要です」(中田氏)

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「ITサービス事業」と「社会インフラ事業」をグローバル展開する日本電気株式会社(以下、NEC)。最先端のテクノロジーを活用して社内DX を進める同社は、社内システムや外部企業とのデータ統合のための共通データ連携プラットフォームにOpenText Business Network Cloud を採用し、次世代EDIを構築。これにより、多種多様な連携手段への柔軟性確保、コスト削減、開発リードタイムの短縮、エンドツーエンドでの事業継続性確保を実現しています。

自社で先進的な社内DXを実践し蓄積したナレッジをお客様や社会に還元

NECは、2025年の中期経営計画で「社内DX」「お客様DX」「社会DX」を経営の中核に設定しています。NECは自らをゼロ番目の顧客として最先端のテクノロジーを活用し、社内DXによって創出した価値、ナレッジをお客様や社会に還元していく「クライアントゼロ」の方針を打ち出しています。
社内DXでは働き方、営業・基幹業務、運用の3つのDX をスコープに統合エクスペリエンス、データプラットフォーム、ITインフラ&セキュリティの共通施策を推進。営業・基幹業務のDXにおけるデータ戦略ではエンドツーエンドでのデータ集約・活用による企業の高度化、プラットフォームではOne Data/One Place/OneFactの実現と、社内外との全体最適でデータ連携を目指しています。

コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部シニアディレクターの中田俊彦氏は「データに基づき経営のスピードや質を向上させ、迅速に意思決定・アクションを実行することがNECの目指すデータドリブン経営です」と語ります。

データの価値を最大限に引き出すデータ連携プラットフォーム

NECはデータドリブン経営に向け、セキュリティ、デジタルアーキテクチャ・インフラストラクチャ、AIを含むNECのデジタル基盤をベースに、周辺領域にデータプラットフォーム、デジタルコアプロセス、統合エクスペリエンス&オペレーションマネジメントを配置して、グローバル戦略パートナーとベストプラクティスを組み合わせた“One NEC System”を推進。エンドツーエンドの連携によりデータの価値を最大限に引き出すためのコアがデータ連携プラットフォームです。データ連携を重視する背景には、サプライチェーンリスク、グローバル競争力、ビジネス環境の変化、事業継続性の担保への対応があります。

「社内でオンプレミスからクラウドまでつながるシステムが増え、外部でも従来の販売・調達パートナーに加え、金融機関や官公庁など接続先の多様化が進んでいます。これまで個別につなげてきたものを全体最適でつなげていくことが重要です」(中田氏)

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富士フイルムビジネスイノベーションはOpenTextにより、国内外の生産/販売拠点間のデータ連携を一元化 https://blogs.opentext.com/ja/bn-user-case-studies-fb-jp/ Fri, 29 Mar 2024 04:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/bn-user-case-studies-fb-jp/

お客様の「ビジネスイノベーションパートナー」として顧客のDX推進を支援する富士フイルムビジネスイノベーション株式会社。国内・海外の生産/販売拠点を結ぶ社内連携システムと、取引銀行の金融EDIとのデータ連携システムとしてOpenText Business Network Cloud を導入した同社は、データ連携の一元化によって運用業務の工数を削減。現在もクラウドの柔軟性を活かして拠点の統廃合やビジネスの変化に対応し、進化を続けています。

生産・販売拠点間を連携するEDIをオンプレミスからクラウドへ

2021年4月に富士ゼロックスから社名を変更し、新たなスタートを切った富士フイルムビジネスイノベーション。1962 年の創業以来培ってきた「紙に情報を複写する」ビジネスからの事業構造転換を進め、DX の推進を通じて業務プロセス全体の最適化や顧客関係性強化などを支援しています。中国とベトナムに複合機やプリンター関連の生産拠点、アジア太平洋などの国と地域に販売拠点を置いています。

同社はこれまで、世界に分散する生産管理や販売管理など50の社内システム間のEDIデータ連携を、オンプレミス環境の自社開発システムで行ってきました。しかし2016年頃、ハードウェアの老朽化が進んだことからクラウドサービスへの移行を検討します。

同社の場合、受発注や生産スケジュール、出荷などに関するデータのやり取りは国内拠点間だけでなく、国内と海外拠点間、海外拠点間同士でも発生します。そのためEDIによる接続環境が複数存在し、業務の複雑化やITコストの肥大化を招いていました。そこで、分散管理していたEDIの一元化を検討しました。情報通信システム部 部長の小野塚真一氏は次のように語ります。

「販売拠点と生産拠点間でデータを1対1で直接交換するケースもあれば、自前のサーバー経由で複数の拠点間のデータをN 対Nで交換を行っているケースもありました。当時、IT運用コストの削減が課題となっていたこともあり、複数のEDI環境の運用継続はコスト効率が悪いと考え、統合を図ることにしました」

グローバルでの実績を評価しオープンテキストのEDIを採用

EDIの統合に向けて複数の製品を調査した富士フイルムビジネスイノベーションは、OpenText Business Network Cloudを採用しました。決め手は、グローバルに対応したクラウドサービスであること、通信プロトコルやフォーマットが異なる多様なEDIシステムとの接続/管理、24時間365日の運用/監視サポート体制、堅牢なDR対応、さまざまなサイバー攻撃に対応可能な情報セキュリティ体制にありました。

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お客様の「ビジネスイノベーションパートナー」として顧客のDX推進を支援する富士フイルムビジネスイノベーション株式会社。国内・海外の生産/販売拠点を結ぶ社内連携システムと、取引銀行の金融EDIとのデータ連携システムとしてOpenText Business Network Cloud を導入した同社は、データ連携の一元化によって運用業務の工数を削減。現在もクラウドの柔軟性を活かして拠点の統廃合やビジネスの変化に対応し、進化を続けています。

生産・販売拠点間を連携するEDIをオンプレミスからクラウドへ

2021年4月に富士ゼロックスから社名を変更し、新たなスタートを切った富士フイルムビジネスイノベーション。1962 年の創業以来培ってきた「紙に情報を複写する」ビジネスからの事業構造転換を進め、DX の推進を通じて業務プロセス全体の最適化や顧客関係性強化などを支援しています。中国とベトナムに複合機やプリンター関連の生産拠点、アジア太平洋などの国と地域に販売拠点を置いています。

同社はこれまで、世界に分散する生産管理や販売管理など50の社内システム間のEDIデータ連携を、オンプレミス環境の自社開発システムで行ってきました。しかし2016年頃、ハードウェアの老朽化が進んだことからクラウドサービスへの移行を検討します。

同社の場合、受発注や生産スケジュール、出荷などに関するデータのやり取りは国内拠点間だけでなく、国内と海外拠点間、海外拠点間同士でも発生します。そのためEDIによる接続環境が複数存在し、業務の複雑化やITコストの肥大化を招いていました。そこで、分散管理していたEDIの一元化を検討しました。情報通信システム部 部長の小野塚真一氏は次のように語ります。

「販売拠点と生産拠点間でデータを1対1で直接交換するケースもあれば、自前のサーバー経由で複数の拠点間のデータをN 対Nで交換を行っているケースもありました。当時、IT運用コストの削減が課題となっていたこともあり、複数のEDI環境の運用継続はコスト効率が悪いと考え、統合を図ることにしました」

グローバルでの実績を評価しオープンテキストのEDIを採用

EDIの統合に向けて複数の製品を調査した富士フイルムビジネスイノベーションは、OpenText Business Network Cloudを採用しました。決め手は、グローバルに対応したクラウドサービスであること、通信プロトコルやフォーマットが異なる多様なEDIシステムとの接続/管理、24時間365日の運用/監視サポート体制、堅牢なDR対応、さまざまなサイバー攻撃に対応可能な情報セキュリティ体制にありました。

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アーバンリサーチは、取引先とのデータ連携にOpenTextを採用 https://blogs.opentext.com/ja/bnao-studies-ur-jp/ Thu, 29 Feb 2024 05:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/bnao-studies-ur-jp/

メンズ・レディースウェアの企画・販売・製造を行う株式会社アーバンリサーチは、取引先とのデータ連携にWeb-EDI を活用してきました。しかし、アパレル特有の生産調整への対応が難しかったため、従来の仕組みを見直し、EDI 連携ソリューションのOpenText Business Network Cloud とWeb-EDI ソリューションのOpenText Active Ordersを導入。発注や納品データの修正/ 更新が迅速化し、倉庫業務の効率も上がって製品リードタイムが短縮されています。

アパレル特有の商習慣に対応する業務実態に合ったEDIの導入を検討

1974年に大阪で創業したアーバンリサーチは「URBAN RESEARCH」をはじめ、さまざまなコンセプトのメンズ・レディースブランドを全国に展開しています。近年はレストラン、バー、キャンプ場なども運営し、さまざまなコラボレーションを実現しています。2023年に長野県で開催したキャンプフェスティバル『TINYGARDEN FESTIVAL 2023』、東静岡のマーケットイベント『YES GOOD MARKET 2023』の全面サポートなど、買い物体験をより高めるための取り組みも推進しています。
同社のアパレル製品の一部は、生地メーカーと生地を共同開発して独自にデザインし、外部の取引先に生産を委託しています。2,000社近くある生産委託先のうち商社経由で取引する約400社とは、Web-EDIを介して発注、納品、請求、支払等のデータをやり取りします。しかし、数年前に導入したWeb-EDIシステムは、スーパーやドラッグストア向けに開発された製品で、機能面でアパレル特有の商習慣への対応に限界がありました。業務システム課 マネージャーの谷口あい氏は次のように語ります。
「アパレルの場合、例えば1,000 着分の生地を仕入れて生産を委託したとしても、結果として100着多い1,100着分が作れたり、900 着分しか作れなかったりと、納品数に差が生じることがあります。さらに、複数の生地を組み合わせる場合、生地の調達の都合によっては先に500着、後から500着といった分納も発生します。以前のWeb-EDIで発注や納品データを修正するときには、当社の発注管理者と取引先との間で手作業での調整が必要でした」
現在、同社は全社的に基幹システムや倉庫システムのリプレースを進めています。そこで先行して、業務実態に適したEDI の導入を検討することになりました。

柔軟性が高くUIが使いやすいオープンテキストのEDIを採用

アーバンリサーチは複数の製品を検討し、EDI連携ソリューションのOpenText Business Network Cloud(旧称:OpenText B2B Managed Services)と、Web-EDI ソリューションのOpenText Active Ordersを採用しました。決め手は、データを保持する仕組みが同社の要件に合っていたことと、システムの拡張性の高さ、実用的で操作イメージが湧きやすいユーザーインターフェース(UI)にありました。

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メンズ・レディースウェアの企画・販売・製造を行う株式会社アーバンリサーチは、取引先とのデータ連携にWeb-EDI を活用してきました。しかし、アパレル特有の生産調整への対応が難しかったため、従来の仕組みを見直し、EDI 連携ソリューションのOpenText Business Network Cloud とWeb-EDI ソリューションのOpenText Active Ordersを導入。発注や納品データの修正/ 更新が迅速化し、倉庫業務の効率も上がって製品リードタイムが短縮されています。

アパレル特有の商習慣に対応する業務実態に合ったEDIの導入を検討

1974年に大阪で創業したアーバンリサーチは「URBAN RESEARCH」をはじめ、さまざまなコンセプトのメンズ・レディースブランドを全国に展開しています。近年はレストラン、バー、キャンプ場なども運営し、さまざまなコラボレーションを実現しています。2023年に長野県で開催したキャンプフェスティバル『TINYGARDEN FESTIVAL 2023』、東静岡のマーケットイベント『YES GOOD MARKET 2023』の全面サポートなど、買い物体験をより高めるための取り組みも推進しています。
同社のアパレル製品の一部は、生地メーカーと生地を共同開発して独自にデザインし、外部の取引先に生産を委託しています。2,000社近くある生産委託先のうち商社経由で取引する約400社とは、Web-EDIを介して発注、納品、請求、支払等のデータをやり取りします。しかし、数年前に導入したWeb-EDIシステムは、スーパーやドラッグストア向けに開発された製品で、機能面でアパレル特有の商習慣への対応に限界がありました。業務システム課 マネージャーの谷口あい氏は次のように語ります。
「アパレルの場合、例えば1,000 着分の生地を仕入れて生産を委託したとしても、結果として100着多い1,100着分が作れたり、900 着分しか作れなかったりと、納品数に差が生じることがあります。さらに、複数の生地を組み合わせる場合、生地の調達の都合によっては先に500着、後から500着といった分納も発生します。以前のWeb-EDIで発注や納品データを修正するときには、当社の発注管理者と取引先との間で手作業での調整が必要でした」
現在、同社は全社的に基幹システムや倉庫システムのリプレースを進めています。そこで先行して、業務実態に適したEDI の導入を検討することになりました。

柔軟性が高くUIが使いやすいオープンテキストのEDIを採用

アーバンリサーチは複数の製品を検討し、EDI連携ソリューションのOpenText Business Network Cloud(旧称:OpenText B2B Managed Services)と、Web-EDI ソリューションのOpenText Active Ordersを採用しました。決め手は、データを保持する仕組みが同社の要件に合っていたことと、システムの拡張性の高さ、実用的で操作イメージが湧きやすいユーザーインターフェース(UI)にありました。

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サプライチェーンにおけるリスク管理の重要性とサプライチェーンコントロールタワーについて解説 https://blogs.opentext.com/ja/risk-management-supply-chain-control-tower/ Thu, 21 Sep 2023 04:00:00 +0000 https://blogs.opentext.com/risk-management-supply-chain-control-tower/

サプライチェーン内でトラブルが起こると、サプライチェーン全体の動きが止まり、大きな損害が発生する恐れがあります。

そのため、強靭なサプライチェーンの構築には、徹底したリスク管理のもと損害を抑える仕組みや能力を備えることが重要です。本記事では、サプライチェーンが抱えるリスクやリスク管理について解説します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者のもとに届くまでの全体の流れを指した言葉です。

例えば、製造業では原材料の調達から始まり、商品や製品の製造、物流、販売を通して、消費者やそれを利用する企業のもとに届きます。
この一連の流れ全体がサプライチェーンであり、各工程でさまざまな企業が受発注や入出荷など「モノ、お金、情報」の取引が行なわれているのが特徴です。

さらに昨今は業際化や国際化により、取引先企業が多様化しています。経由するサプライチェーンも複雑化することで、サプライチェーンの管理がより一層重要視されています。

サプライチェーンにおけるリスク

ここでは、サプライチェーンの構築や運用をするなかで発生する3つのリスクについて解説します。

調達リスク

サプライチェーンは、各工程が適切に稼働することで成り立っています。どこか一つの工程が止まると、サプライチェーン全体が機能しなくなるのです。
そのため、原材料や完成品を正しく届けられなくなる「調達リスク」が大きな問題となっています。

例えば、原材料の調達が滞ると、部品や商品の製造ができず、物流や販売といったその後の工程に進めません。そのため、大きな損害が発生する可能性があります。

また、自然災害によって工場が生産停止に追い込まれたり、パンデミックや地政学的な問題により海外で製造した部品や材料を輸入できないことも調達リスクに挙げられます。

特に日本ではかねてから巨大地震の可能性が指摘されているため、リスクに備えた事前の施策が大切です。

環境リスク

製品の製造や輸送など、各工程で環境へ悪影響を与えてしまうことも、サプライチェーンが抱えるリスクといえます。

近年世界中でESG経営が求められ、サステナブルへの取り組みが注目されています。「CO2削減」「脱炭素化」が推進されていくなかで、サプライチェーンにおいても環境に配慮した取り組みが行なわれています。

具体例としては、環境に配慮したサービスや商品を消費者へ提供する、サプライチェーンによって排出されるCO2量の算定をして削減する、などといった取り組みです。

しかし、サプライチェーンは複数の企業で成り立っているため、一つの企業が環境に配慮した事業をしても、サプライチェーンに関わる企業全体で取り組まなければ、CO2や有害物質の排出量の増加や資源の乱用などを食い止めることは難しいと言わざるを得ません。

現状、日本においては2050年までにCO2排出量をゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルを政府が宣言したことにより、より一層環境に配慮した取り組みが求められ、企業側もそれに追従する動きを見せています。

人権リスク

グローバルなサプライチェーンには、人権や倫理的なリスクが存在します。例えば、サプライチェーンの川上ともいえる原材料の調達では、紛争鉱物やや強制労働などにより生産が行われている国や地域がある場合です。

紛争地域の国と直接取引をすると、原材料の輸入などに支払ったお金が反政府勢力や武装勢力などに利用される可能性があります。

さらに、取引をしている企業は紛争とは関係ない国にあっても、調達先が紛争地域の国であると結果的に紛争に関与してしまうリスクがあるのです。

また、製品を安く提供するためには、原材料などの調達価格を抑えなければいけません。そのため、取引先の企業では従業員への過酷な労働や労働搾取、児童の強制労働といった人権を無視した労働が行なわれることがあります。

自社の利益を優先するあまり、無理のある条件を取引先に押し付けることで、過酷な労働環境を作ってしまうリスクがあるのです。また、企業として、社会的制裁を強いられるリスクもあります。

サプライチェーンのリスク管理にはサプライチェーンコントロールタワーが重要

ここでは、サプライチェーンのリスク管理のかなめとなるサプライチェーンコントロールタワーについて解説します。

サプライチェーンコントロールタワーとは

サプライチェーンコントロールタワーとは、サプライチェーンを横断する、調達、製造、在庫、物流といったすべての情報やデータを集約し、そのデータを可視化し、例外を迅速に検知するサプライチェーンの管制塔のことです。

原材料や部品の生産状況からモノが発送された際の輸送状況、各サプライヤーからの納品物の欠品率や納期遅延率まで、あらゆる工程の情報をリアルタイムで共有します。

さらに、サプライチェーン業務においてもAI(人工知能)などを活用した、日常的な業務の自動化や異変や例外の素早い検知などにより、業務の効率化とリスク管理を行っていくうえでも必要となる情報から洞察を得ることが可能となり、次の一手を迅速に打つことが可能になります

また、サプライチェーンコントロールタワーの仕組みや需要については、下記のリンク先の記事で詳しく紹介しています。サプライチェーンコントロールタワーについての知識を深めるためにも、ぜひ本記事と併せてチェックしてください。

サプライチェーンコントロールタワーとは?仕組みや世界規模での需要について解説

コントロールタワーを使うことでリスク管理ができる

サプライチェーンは想定外のトラブルが発生する可能性があり、万全に備えておくことが難しいため、安定的な調達、および製造を行っていくには、日々のリスク管理が重要になります。

そのため、サプライチェーンコントロールタワーにより各工程の情報を可視化し、異変や問題の発生を事前に検知、あるいは問題が発生した場合でも迅速に対応して損害を最低限に抑えるためのリスク管理が必要です。

経済産業省が公表する「令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)」によれば、グローバルで優良なサプライチェーンを構築している企業の大半はコントロールタワーを整備し、エンドツーエンドで可視化を実現している企業も全体の50%まで増えています。

しかし、日本企業に絞るとコントロールタワーを整備している企業は少なく、エンドツーエンドまで可視化できている企業は16%しかありません。 そのため、グローバルでビジネスを展開している日本企業は、特にコントロールタワーの構築と可視化により国際競争力を高めていくことが求められています。

まとめ

サプライチェーンの運用には3つのリスクがあり、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。そこで、サプライチェーンマネジメントを通して、自社のサプライチェーンのリスク管理を進めていく必要があるのです。

一方で、企業のサプライチェーンマネジメントは複雑化し、適切な情報管理ができていない企業も増えています。

そのため、サプライチェーンを可視化し、現在の状況を把握することでリスクに備えられるサプライチェーンコントロールタワーの必要性が増しているのです。

サプライチェーンコントロールタワーを通してサプライチェーン内の脆弱性を見つけ出し、徹底したリスク管理体制を実現することが、企業が勝ち残っていくためには必要だといえるでしょう。

OpenTextはサプライチェーンコントロールタワー構築に向けた、国内外のお客様をご支援しています。国内外で培った40年以上の経験とノウハウをもとに、サプライチェーンの高度化、強靭化へ最適なベストプラクティスのご紹介、課題解決へ向けたソリューションをご提案しています。国内外の取引先やサプライヤーとのB2Bデータ連携に課題をお持ちのお客様は是非お問い合わせください。

OpenText へのお問い合わせフォームはこちら

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サプライチェーン内でトラブルが起こると、サプライチェーン全体の動きが止まり、大きな損害が発生する恐れがあります。

そのため、強靭なサプライチェーンの構築には、徹底したリスク管理のもと損害を抑える仕組みや能力を備えることが重要です。本記事では、サプライチェーンが抱えるリスクやリスク管理について解説します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者のもとに届くまでの全体の流れを指した言葉です。

例えば、製造業では原材料の調達から始まり、商品や製品の製造、物流、販売を通して、消費者やそれを利用する企業のもとに届きます。
この一連の流れ全体がサプライチェーンであり、各工程でさまざまな企業が受発注や入出荷など「モノ、お金、情報」の取引が行なわれているのが特徴です。

さらに昨今は業際化や国際化により、取引先企業が多様化しています。経由するサプライチェーンも複雑化することで、サプライチェーンの管理がより一層重要視されています。

サプライチェーンにおけるリスク

ここでは、サプライチェーンの構築や運用をするなかで発生する3つのリスクについて解説します。

調達リスク

サプライチェーンは、各工程が適切に稼働することで成り立っています。どこか一つの工程が止まると、サプライチェーン全体が機能しなくなるのです。
そのため、原材料や完成品を正しく届けられなくなる「調達リスク」が大きな問題となっています。

例えば、原材料の調達が滞ると、部品や商品の製造ができず、物流や販売といったその後の工程に進めません。そのため、大きな損害が発生する可能性があります。

また、自然災害によって工場が生産停止に追い込まれたり、パンデミックや地政学的な問題により海外で製造した部品や材料を輸入できないことも調達リスクに挙げられます。

特に日本ではかねてから巨大地震の可能性が指摘されているため、リスクに備えた事前の施策が大切です。

環境リスク

製品の製造や輸送など、各工程で環境へ悪影響を与えてしまうことも、サプライチェーンが抱えるリスクといえます。

近年世界中でESG経営が求められ、サステナブルへの取り組みが注目されています。「CO2削減」「脱炭素化」が推進されていくなかで、サプライチェーンにおいても環境に配慮した取り組みが行なわれています。

具体例としては、環境に配慮したサービスや商品を消費者へ提供する、サプライチェーンによって排出されるCO2量の算定をして削減する、などといった取り組みです。

しかし、サプライチェーンは複数の企業で成り立っているため、一つの企業が環境に配慮した事業をしても、サプライチェーンに関わる企業全体で取り組まなければ、CO2や有害物質の排出量の増加や資源の乱用などを食い止めることは難しいと言わざるを得ません。

現状、日本においては2050年までにCO2排出量をゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルを政府が宣言したことにより、より一層環境に配慮した取り組みが求められ、企業側もそれに追従する動きを見せています。

人権リスク

グローバルなサプライチェーンには、人権や倫理的なリスクが存在します。例えば、サプライチェーンの川上ともいえる原材料の調達では、紛争鉱物やや強制労働などにより生産が行われている国や地域がある場合です。

紛争地域の国と直接取引をすると、原材料の輸入などに支払ったお金が反政府勢力や武装勢力などに利用される可能性があります。

さらに、取引をしている企業は紛争とは関係ない国にあっても、調達先が紛争地域の国であると結果的に紛争に関与してしまうリスクがあるのです。

また、製品を安く提供するためには、原材料などの調達価格を抑えなければいけません。そのため、取引先の企業では従業員への過酷な労働や労働搾取、児童の強制労働といった人権を無視した労働が行なわれることがあります。

自社の利益を優先するあまり、無理のある条件を取引先に押し付けることで、過酷な労働環境を作ってしまうリスクがあるのです。また、企業として、社会的制裁を強いられるリスクもあります。

サプライチェーンのリスク管理にはサプライチェーンコントロールタワーが重要

ここでは、サプライチェーンのリスク管理のかなめとなるサプライチェーンコントロールタワーについて解説します。

サプライチェーンコントロールタワーとは

サプライチェーンコントロールタワーとは、サプライチェーンを横断する、調達、製造、在庫、物流といったすべての情報やデータを集約し、そのデータを可視化し、例外を迅速に検知するサプライチェーンの管制塔のことです。

原材料や部品の生産状況からモノが発送された際の輸送状況、各サプライヤーからの納品物の欠品率や納期遅延率まで、あらゆる工程の情報をリアルタイムで共有します。

さらに、サプライチェーン業務においてもAI(人工知能)などを活用した、日常的な業務の自動化や異変や例外の素早い検知などにより、業務の効率化とリスク管理を行っていくうえでも必要となる情報から洞察を得ることが可能となり、次の一手を迅速に打つことが可能になります

また、サプライチェーンコントロールタワーの仕組みや需要については、下記のリンク先の記事で詳しく紹介しています。サプライチェーンコントロールタワーについての知識を深めるためにも、ぜひ本記事と併せてチェックしてください。

サプライチェーンコントロールタワーとは?仕組みや世界規模での需要について解説

コントロールタワーを使うことでリスク管理ができる

サプライチェーンは想定外のトラブルが発生する可能性があり、万全に備えておくことが難しいため、安定的な調達、および製造を行っていくには、日々のリスク管理が重要になります。

そのため、サプライチェーンコントロールタワーにより各工程の情報を可視化し、異変や問題の発生を事前に検知、あるいは問題が発生した場合でも迅速に対応して損害を最低限に抑えるためのリスク管理が必要です。

経済産業省が公表する「令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)」によれば、グローバルで優良なサプライチェーンを構築している企業の大半はコントロールタワーを整備し、エンドツーエンドで可視化を実現している企業も全体の50%まで増えています。

しかし、日本企業に絞るとコントロールタワーを整備している企業は少なく、エンドツーエンドまで可視化できている企業は16%しかありません。 そのため、グローバルでビジネスを展開している日本企業は、特にコントロールタワーの構築と可視化により国際競争力を高めていくことが求められています。

まとめ

サプライチェーンの運用には3つのリスクがあり、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。そこで、サプライチェーンマネジメントを通して、自社のサプライチェーンのリスク管理を進めていく必要があるのです。

一方で、企業のサプライチェーンマネジメントは複雑化し、適切な情報管理ができていない企業も増えています。

そのため、サプライチェーンを可視化し、現在の状況を把握することでリスクに備えられるサプライチェーンコントロールタワーの必要性が増しているのです。

サプライチェーンコントロールタワーを通してサプライチェーン内の脆弱性を見つけ出し、徹底したリスク管理体制を実現することが、企業が勝ち残っていくためには必要だといえるでしょう。

OpenTextはサプライチェーンコントロールタワー構築に向けた、国内外のお客様をご支援しています。国内外で培った40年以上の経験とノウハウをもとに、サプライチェーンの高度化、強靭化へ最適なベストプラクティスのご紹介、課題解決へ向けたソリューションをご提案しています。国内外の取引先やサプライヤーとのB2Bデータ連携に課題をお持ちのお客様は是非お問い合わせください。

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